チリーダ!!

行ってきました鎌倉。エドゥアルド・チリーダ展!!長崎(県立美術館)を逃し、三重(県立美術館)を見送り、今月から鎌倉の神奈川県立近代美術館で開催しているのを、夏休みを待ちきれずに速攻で行きました。チリーダは、以前働いていた画廊に版画のストックが数点有り、ここぞというときにひっぱりだしてお客さんに勧める(なかなか売れませんでしたが)、お気に入りの作家でした。時々図版等で見かけることはあっても、作品をまとめて観られることなど考えてもみないことだったので、今回の展覧会は本当に楽しみにしていました。
鉄、石、紙の彫刻は、それぞれその素材以上の魅力が引き出され、かたちを越えて訴えるものがあります。版画もエンボス(空刷り)が効果的で、彼の作品がいつも空間と共にあることを示唆しています。ちょっとした手がモチーフのスケッチ風の作品も、鉄の彫刻の形態と重なるようなフォルムでした。海辺に突き出すように設置された鉄の彫刻写真が今回の展覧会のポスターにも使われているのですが、ヨーロッパを中心にチリーダの大きな彫刻が各地に存在していることを知りました。特にヒホン(スペイン)にある「水平線礼賛」の写真に、今回同行したもの全員が心を奪われ、「ここにいかなくちゃならない」決心を皆で誓うのでした。ものの重みという存在感、グラデーションではない一本の線の強さ、素材に埋没することのない意思。「こういうものをつくりたい」と思うのは大作家に対して失礼な物言いですが、共感と愛情と嫉妬が沸々と溢れる幸福感に浸りながら、展覧会場を歩くのでした。
この神奈川県立近代美術館は、大学の美術館実習の授業で最初に訪れた美術館であり、鎌倉を訪れるのはなぜかいつもこの季節であることも手伝い、懐かしさを何度もリピートしていました。なお、神奈川県美の葉山館の方ではジャコメッティ展も開催中。これももちろん行きました。両企画とも7月31日まで。

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