「アンリミテッド:コム デ ギャルソン」

「アンリミテッド:コム デ ギャルソン」清水早苗・NHK 平凡社
広島県立図書館
2002年にNHKで放映されたものをもとに編集された本。川久保玲の言葉や関係者のコメント、コレクションの映像などで構成されている。ファッションの世界は時代の徒花というか、追いかけるむなしさがつきまとうので、いつも横目で眺めているような感じなのだけど、ギャルソンの身体の様々な場所にパッドが入った服を見たとき、これはいわゆるファッションの世界のことじゃないような気がした。川久保玲という人は、ファッション界というくくりの中で生きているわけではないのだ。ここにある様々な人々の証言や、彼女の言葉がそれを裏付けている。真に創造的なものは、あきられることなく時代を超えて刺激的だ。それにつけても、会社の経営とデザインの仕事を共に成功させていることの凄さ。常にその時々の自分の中の感覚をデザインに繋げ、まわりの優秀なスタッフを引きつけていく力。そしてそれを20年もの間やり続けていること。いつ、ものがつくれなくなるかもしれないという危機感が常にある、という言葉は、彼女の生きていることへの緊張感が伝わってくる。でも事実、コムデギャルソンの服は、長く着ることができる。10年以上前のものだって愛用しているし。デザインのみならず、素材、縫製等のクオリティが高いのだ。アンリミテッドを掲げられるデザイナーもそうはいないだろう。

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