金井美恵子ー西江雅之

金井美恵子氏の(どうあっても呼び捨てにできない心持ち)、エッセイコレクション(1964-2013)1「夜になっても遊びつづけろ」を、めくる。
その語り口、切れ味、切られ素材、何をとっても面白いのだけど、集中して読まないと、どこまでも続いていくような文章は、「ついて来られないようなやつはお引き取り願う」と言っていて、怖いし時々見失うけどなんとかついていきますってかんじの読者なのであるが‥。20代の頃、「文章教室」を読んで以来、もう金井美恵子氏は、私にとって特別席の女親分なのである。
で、この中に西江雅之さん(尊敬と親しみを込めて呼び捨ては無し)についての文章、彼の著書「花のある風景」の書評なのであるが、これが、なんともいいのである。
愛にあふれたというか、甘美な文章。
「‥書物ではなく、生きた人間と出会うことによって与えられた決定的な影響という意味では、私は家族のつぎに西江雅之をあげるだろう。」そして「西江さんから学んだものは、ひと言で言うとすれば、私の気持ちを非常に優しくしてくれる何か、というような言い方しか出来ない。」
もちろん、こういう個人的な気持ちを語っているだけでなく、西江さんがどういう仕事をしていて、どういう人柄なのかは、十分に語られてはいるのだけれど、こんなふうに、あの金井美恵子氏が‥手放しで‥‥。
それでもって、その西江さんは、もうその通りの人であって、私も尊敬と愛情を捧げているわけで、西江さんをそうでしかないような表現で語る優しい感じが、余計に胸に染みたのでありました。