最近は、なんでもアーティストって呼ぶから、くくりが大きすぎてアートの世界も無限大だあと思うのであるが、この人たちについては、絵師って呼びたい。
安野光雅。(ひろしま美術館「安野光雅のふしぎな絵本展」2015.10.31-12.6)
あの「ふしぎなえ」は、安野氏のデビュー作なのであった。あらためて見ても、ふしぎ。そして原画は、美しい。印刷だと色が濃すぎてニュアンスが消えてしまうけど、水彩の絵具の色合いや細かな筆致がよくわかる。もう圧倒的な技術力だ。それに加えて、この豊かな空想力。汲んでも汲んでも尽きない表現の泉を、その身にお持ちなのだろう。
山口晃。(広島市現代美術館「俯瞰の世界図」2015.10.10-12.6)
これまた、縦横無尽な視点と、それを表現しうる技術力を持った絵師。ご本人のトークが催されたので、参加。ホワイトボードの前に立ち、マジックでつるつる何やら描きながらのトークは、抜群に面白かった。お笑い芸人としてでも稼げるのではと思うほど。文章も面白い人と知ってはいたが、ライブでこんなに人を引きつける話術も持っているとは‥。
頭脳が明晰で、高度な技術を持ち、独創性に溢れ、人々に愛されている。だからたくさんの仕事が望まれ、それに答える能力もある。
そうやって、時代を貫いて残っていくのだろうな。歴史上のこれまでの絵師たちのように。