「ミドリノオバサン」伊藤比呂美 筑摩書房 はつかいち市民図書館

あいかわらず、激しくも狂おしい人生を送っているだろう伊藤比呂美氏の園芸雑文。でも今度の彼女の愛の対象は植物だし、歳をとったせいで(本人がそう言っている)対象と自分との関係性をちゃんと達観しているし、波瀾万丈も息をひそめて穏やかな日常。
あーよかった。
それでもって、ちゃんと園芸の心得、1.植物の氏素性を知る(出生地など)、2.植物を分類して捉える(何々科に属する)、3.植物をかまう(葉っぱをふいたり、移動させたり、植え替えたり)、4.植物の生死を潔く受け入れる(だめなものはだめ、生きるものは生きる)がしっかり書かれていて、そのへんの園芸関係のノウハウ本やエッセイ本より(おしゃれな庭やら、きままな庭づくりやら)よほど園芸の極意を語っている。さすが詩人、ものごとの本質を語っているのである。

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