柚木沙弥郎展

くっきりとしたものが好きなのだと思う。それは一本の線というよりも、何かと何かの境界。せめぎ合うところ。染めた色のくっきりとせめぎ合いつつ、でも揺らいでもいるところ。
布というのはただの平面ではなく、そこに描かれていたり彩色されていても、紙の上の時とはあきらかに違う様子になる。平面から立ち上がって立体的になる手前のところ。そのあたりの世界がどうも好き。
単純なかたちや、ひとつのパターンの繰り返しで、洗練されたイメージをつくる。見たことないけど、見たことあるような、懐かしくて嬉しいような。
「夜の絵本」の原画というか、実物布絵が言葉と一緒に展示されていた。あーこれが柚木さんの詩情なのだとしばし立ちつくす。研ぎ澄まされた世界だった。

というわけで、写真でしか見たことのない柚木沙弥郎氏の展覧会がわりと近場で開催されて、大変ラッキー。早速行って来ました。
岡山県立美術館と、丸善シンフォニービル店のギャラリーの2箇所(こちらはすでに終了)
近くには岡山城と後楽園もあって、時間が無かったので岡山城だけ見学。狭い範囲での岡山散策でしたが、同じ瀬戸内でも広島とは雰囲気が違う。こう押さえが効いているというか。ラテンじゃないというか。
展覧会は6月29日まで。

dscn8250.jpg