生まれてからずっと同じ家に住んでいる人も、今まで様々な家に移り住んできた人も、家に対しての夢や希望はたくさん持っています。
でもいざ「自分の家をつくる」ということになると、何をどうしていいのかよくわからない、という話を聞きます。
昔の日本家屋は、人の嗜好と実際の建築とが近しい関係にあったと思いますし、イギリスのように建築について一般市民が議論できるだけの知識と関心を持つ国もあります。
自分の住む家についての思い入れや知識に欠けるという嘆くべき事態は、戦後の復興過程で家づくりというものが専門化、閉鎖化した結果、引き起こされたものだと思います。
今後、少子化によって国内の建築需要は低下傾向に向かい、家づくりそのものをもう一度考え直す時代がやってきます。
だからこそ、お仕着せの手に入りやすいものをさっさと選ぶのではなく(例えばまるでスーパーで買い物をするように)、落ち着いて「家をつくる」というゆとりのある姿勢を、まず持って欲しいと思います。
そして、設計者と充分なコミュニケーションを取り、ある程度時間をかけて知識を得ながら、納得のいくスペックの、納得のいく価格で、「住宅」を自らのものにするべきです。
家は、暮らしをつくっていく道具であり、暮らす人たちをつくる環境です。
自らの人生を生きるべく、
自らの家づくりを。