所在地 広島市西区高須
主要用途 併用住宅(設計事務所)
構造規模 鉄骨造 3階建
敷地面積 90m2
延床面積 105m2
INPLACEのアトリエと自宅の併用住宅です。
広島市西部の古い住宅地に位置しています。敷地の少し北側には西国街道が走っていますので、江戸時代は遠浅の海岸だったということです。
1階にアトリエ、2,3階に住宅を配置した事務所併用住宅です。
敷地は27坪の小さな土地なので、必要な駐車スペース(2台分)と床面積を確保する為には、3階建、構造は鉄骨造としました。
構造体が必要なサイズのパーツで素直に構成されているS造は、一番好きな構造形式です。
鉄骨造3階建で、柱をH形鋼とし、X方向をラーメン構造、Y方向をブレース構造としました。柱と梁は100*200を基準とし、一部125*250とするなどコンパクトな構造を実現しています。
構造のサイズを小さくするために、床面のコンクリートを3階(屋上)のみとして、他は木造で床を作っています。
外壁は桧よりも防腐防蟻性能が高いウェスタンレッドシダーの荒面を無塗装のまま縦張にしています。耐久性は30年ほど期待できるようですので、30年後に張り替える事にします。
鉋で削る平滑面よりも、荒面のほうがやや耐久性は高いようです。熊の毛皮のような表情が今後の変化していくことに期待しています。
防腐塗装も検討しましたが、着色剤が入っているので、定期的な塗替が必要である事と、人工的な着色剤の色になると、経年変化が単なる劣化になること等で、材料のもつ防腐成分に期待する事にしました。
日本は、防火性能や、耐久性能をあげる事は成功しましたが、工業製品のメンテナンスフリーの町並みばかりになっています。
激しく経年変化をする建築が町にどう影響を与えるか?実はそこが一番興味があって、この材料を選択したかもしれません。
近所にも、板塀のある古い家や、漆喰塗の蔵が少し残っていますが、数十年経って、そうした歴史を乗り越えてきた風格と言うか、気合いがにじみ出てくれば成功だと思っています。
キャンチレバー部分の下は、普段は駐車場として利用していますが、夏には夕涼みに、イベントの時はオープンスペースに使う事も想定しています。
上げ裏は白く塗装し、アトリエへの反射光を誘導しています。
キャンチレバー部分の南奥側には2m角の小さなテラスを設けています。
2階にある生活の中心部分に半屋外的スペースを供給しています。食事やお茶、読書だけでなく、ハーブや観葉植物の栽培など、有効に利用されています。
建築の外壁は、OSBとウレタンのサンドイッチ材が全て使われています。
内部の壁面は、OSB現しとしています。部分的に紙(韓紙)を貼ったり、漆喰を塗るなど、実験を兼ねた試みも行っています。
西側に階段を設け、上下の移動スペースとしています。1階から3階まで階段の壁の片面が全て書棚にしていますが、階段は風通しもよく、時々読書するにも丁度いいスペースです。