内田樹さんの「日本辺境論」を読んでみました。
日本は辺境であり、日本人固有の思考や行動はその辺境性によって説明できる・・・という日本論です。
具体的なエピソードも多く、非常に読みやすく、深くうなずいてしまう所も多く、あっという間に読んでしまいました。
僕は15年ほど前から、日本とは何か?という答えの無い疑問を解明すべく、いわばライフワークのようにいろいろ見たり考えたりしてるのですが、、、
この本の初っぱな23ページ目に、、、
「私たちが日本文化とは何か、日本人とはどういう集団なのかについての洞察を組織的に失念するのは、日本文化論に「決定版」を与えず、同一の主題に繰り返し回帰することこそが日本人の宿命だからです。」
とあります。
地球が半永久的に太陽の周りを回るように、日本人は日本人論を繰り返し繰り返し問い続けるのです。
この回帰性が逆に日本の特徴だという話。
20年ほど前に、大学の卒業設計で、色々考えて一つのプロジェクトを行いました。どうも納得いかなくて、短時間で二つ目の設計を行って完成させました。その両者に共通するテーマが、循環性でした。
循環する大きなシステム対して、カーブボールを投げるようにひねりを加える小さな作業が、都市に建築をつくること。ということを表現したかったのだろうと、今になってみれば客観的に考えることが出来ます。
この本の、若干自虐的な知識人的文体は気になりますが、非常に楽しめて、為になるうえに、表現の巧みさを感じることができる、いい新書でした。