パーソナルコンピューターからの卒業

今日未明、AppleのWWDC(World Wide Developer’s Conference)2011のジョブズのスピーチがありました。
入院先からの参加ですので、特別なイベントとしてかけるものがあったのでしょう。

いわゆるパソコンと呼ばれているパーソナルコンピューターは、実質的にはジョブズが生み出したもので、かつては、個人の可能性を拡張する装置として夢や希望、実質的な成果を僕達にもたらしてくれました。
1977年発表のAppleIIの後、1984年にMacintoshが発表され、その後ハードやソフトの凄まじい進化がおこりました。
その後、ネットワークやインターネット、様々なデジタル機器の進化に伴い、2001年にはジョブズはデジタルハブ構想を発表します。
パーソナルコンピューターは、孤立した箱でなく、音楽や映像など様々なデジタルデバイスのハブとして機能させるという宣言でした。これはパーソナルコンピューターの機能を変えるとか付加するのではなく、存在する意味を再定義するということでもありました。
その後、本来の業務でない家電業界、音楽流通業にも参入し、さらなる個人の可能性を拡張する世界を実現することになります。

そして2011年のWWDCでは、ついにパソコンのOSをダウンロード販売のみにし、数千円で販売することにしました。あわせて、ネット上でデジタルデバイスのコンテンツを共有するサービスの開始も発表しました。
つまりデジタル機器のハブというか軸足にパーソナルコンピューターを置くこと卒業し、ネット上にハブを置くということになります。
つまり、パーソナルコンピューターもiPhoneもiPadもiPodもコンテンツら見ると等価ということになります。
パーソナルコンピューターもそのOSもその手段ということ。
1977年や1984年にパーソナルコンピューターでしか表現できなかったことを、2011年にはパーソナルコンピューターがなくても表現できるようになったわけです。

某OS屋の創業者も古くからのライバルでしたが、あまりにも距離ができてしまった感じです。
ヴィジョンを最重視し、実現したジョブズ。
金儲けを再重視した某OS屋の創業者。
どちらも、スタート時の夢は実現したと思います。
人類の精神や表現、日常生活に大きな影響を与えたジョブズが、病身でありながら、パーソナルコンピューターに決着をつけた。
そんなイベントだったのではないかと思います。

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