日本の輸出政策

アメリカは、日本の内需をなんとか取り込みたいようで、TPPに入ることを強要してるようです。
反対派はシンプルな主張で勇ましいですが、賛成派は誰もがモゴモゴした感じで主張もはっきりしない傾向にあります。
TPPに入るかどうかは別として、この円高と、生産性の低下、人件費の高止まり、中国や韓国の追い上げ(追い越し?)も考えると、精密な工業製品を純国産で製造し、外国でバンバン売るという状況は今後は考えにくいでしょう。
似た様な体質のアメリカは、映画やテレビドラマ、特許や独占で固めたウェブを使ったサービスなど、非物質的な輸出で稼いでるようです。
日本は昔からサブカルチャーが得意と言われてきましたが、マイナーだからサブカルチャーなわけで、政府と二人三脚で売り込むところまでは行っていません。

先日、トルコで大きな地震がありました。トルコは元々ウイグルと同族で、古代にはひょっとしたら日本人とも何らかの血の繋がりがあるかもしれない、そういう親密な関係を更に持てる民族です。
何かしてあげたい気持ちはありますが、しかし地震は予防が一番の対策です。地震に強い建築を造ること。これが不幸を最小化する最大の技術です。
同じアジアでは、パキスタンやイラン、アフガニスタンあたりの地域も巨大地震が起っています。
中国でもインドネシアでも大きな地震がありました。
巨大地震の危険性がある地域であっても、地震に対する対策ができている途上国は皆無に近い。
キアロスタミの映画にもなった1990年のイラン地震は3万人もの犠牲者が出ましたが、そのほとんどは日干しレンガの家の倒壊による圧死でした。
途上国では、RCの建物でも、細い柱梁をつくって、その間に煉瓦を積んで壁を作る工法です。
これが非常に地震に弱い。
コストの問題もあると思いますが、耐震性の研究や技術の開発や普及がそもそも不十分じゃないかと思います。
恐らく、先進国のコンサルタントやゼネコンが関与する政府の建物はきっちりと作ってると思いますが、庶民が特に基準も規制もなくつくるものは、手作りの延長のようにも見えます。
こうした耐震技術の普及が未発達な国へ、耐震技術を輸出するというのは、建築の業界の今後の仕事とならないかな。

その国や地方に応じた地震の研究、それを元にした耐震基準の策定、建築規制の政策の立案や、行政を実施するアドバイス。
そして具体的な構造設計や計算プログラムのローカライズ、施工技術の研究と普及。
単品では機能しないので一連の技術をパッケージとして、ODAも使ってその国に長期的に根付くような技術移転をすることができれば、日本の大きな強みになるでしょう。他の追従を許さない輸出商品になりそうな気がします。
もちろん他のジャンルでもおなじでしょう。潤沢な内需で培ったサービスは、独自の商品になり得るように思います。

かつては、島国である日本。無限の広がりを持つ大陸の国々。でした。
しかし、世界は短時間で結ばれ、大陸は島国になりつつあります。逆に島国だった日本は大陸とコネクトされ、地球が一つの領域になっています。
日本は大陸のように。大陸は世界のように。
そうなることは必然となります。
日本がグローバルな波に飲まれると同時に、世界は日本のきめ細やかな文化を求めている。
これから先は、そういう動きが加速しそうな気がしています。

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