禅の修行

ある本を読んでいたら、この本を紹介していたので読んでみました。
美大出身の元パッカーの青年が、永平寺に修行に行く話です。
学生の頃から鈴木大拙の著作が好きだったので禅には興味は持っていました。
もちろん庭や建築を始めとする様々な禅の美意識への興味も。
鈴木大拙は同じ禅でも臨済宗で、永平寺は道元が始めた曹洞宗。
読み進むに従って、似ているけど違うというところが強烈に響いいてきます。

毎年100人以上が永平寺に修行に行くそうです。
日常の動作や行為全てが悟りに向かう修行であるとのことで、一挙手一投足全て厳しくて細かいルールが有ります。
そのルールを大量に覚え、行動しないと、殴る蹴る罵倒される。
食事は偏っているため脚気になるものも続出。
しかし、一年経つとそれなりに行動できるようになり、著者は修業を終え、娑婆に帰ってきます。

この曹洞宗特に永平寺の修行のスタイルは、戦前の軍隊の教練にも導入されたようで、結果的にそれがスポーツ界にも導入され、大阪の体育高校や戸塚ヨットスクールあたりもその影響下にあったと言えると思います。
ただ、厳しさの先にあるものの違いは大きい。
曹洞宗の一人ひとりの生活における気付きから悟りに向かう意識のベクトルは、金太郎飴のような屈強な兵隊をつくるものとは正反対だと思う。

著者は一年で下山しているが、その後の人生も気になっています。

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