複数の国が同一のルールで繋がり、人やサービスや物が自由に行き来することは、総論賛成、各論微妙という人は多いと思います。
市場が大きくなるのですから、大量に生産する企業はメリットはありますし、物がより多く遠距離を移動するわけなので流通に関わる企業もメリットが多い。
しかし、遠くから安いものが流入することは明らかなので、関税に代わる保護の仕組みが有効に機能しないかぎり、産業構造が大きく変化することが予想されます。
日常生活では、やはり食品が気になります。
そこで、大量生産される食品がどんなものか?いい本があったので読んでみました。
「ファーマゲドン」
英国人ジャーナリストと家畜の福祉増進を目指す団体の二人による取材による本です。
日本でも危険な食品を警告する本は多いですが、どうしても不安心理を煽ろうという表現が強いうえに、現場への取材が少ないのが不満でしたが、この本はアメリカ、南米、中国など世界の様々な工業的な大規模農場を現場で取材しています。
世界で行われる工業的大規模農場は、ほぼ似たような仕組みで牛や豚、鶏、飼料用作物、飼料用魚粉などがつくられます。
単一のものを限定された土地に大量に飼育するため、環境の汚染が著しい。
家畜の大量な糞尿も浄化されないため、周辺地域の健康被害も著しい。
川や海岸も汚染がひどく、鳥や豚経由の危険なウイルスの発生源となる。
安い飼料が必要であるため、遺伝子組み換えの大量の農薬依存の農業となる。
その結果、蜂など有益昆虫も死滅し、受粉すら自然に行われない状況。
河川の水も地下水も不足し、土壌も劣化。持続可能性を感じられない。
中国など途上国の先進国化による需要増をまかなう力が無いと思われる。
どうやら避けたほうがいいのは、激安の米国産牛肉、その飼料となる輸入大豆のようです。
できるかぎり、近くで作られる食品を選ぶべきだと思いますし、保存性やお手軽に調理するために加工されるものも避けたほうがいいでしょう。
口に入れるだけなら本人の選択の問題ですが、環境の破壊は人類に大きなダメージを与えます。