カタルーニャ地方

スコットランドに続いてカタルーニャ地方が独立を模索してるようです。
早ければ数日中に住民投票をするとか。
スコットランドは、ヤクザの兄弟分の争いのようなものでしたが、カタルーニャ地方は少しややこしい状況にあります。

元々、イベリア半島はヨーロッパの中ではかなり温暖で豊かな地方でした。
バスク人の先祖と言われてるクロマニヨン人の洞窟の壁画なども残る歴史ある地方です。
イスラムに支配された領土を回復するための軍事力強化が、領土回復後の内戦の激化につながったと思います。
青池保子の「アルカサル-王城-」は、青池の代表作の一つですが、マンガでありながら内容が濃密です。
各地の城に住む王や貴族たちが、派手な鎧や衣装を身にまとってひたすら戦争をしまくる姿は、スタジアムでサッカーを見るようなものです。
地方や都市同士が、同盟を組んだり、騙したり、ひたすら戦争をしまくるスペイン人のあきれた気質がこの漫画に見事に描かれていて非常に面白い。
独立を画策するカタルーニャ地方は、かつてのフランク王国のスペイン辺境伯領やバルセロナ伯領であり、アラゴン連合王国領なのです。

ただ、マドリーとバルセロナの関係を決定づけたのは、スペイン内戦です。
共産主義者と社会主義者、無政府主義者が政権を取ると、スペイン全土で暗殺や報復が蔓延し、革命前夜の騒然とした状況になりました。
その後、フランコが反乱軍を組織し、内戦に突入するのですが、反乱軍側にナチスドイツ、人民戦線側にスターリンのソ連がついてそちらが主役になります。
わかりやすくいうと、マドリーはヒトラーの黒い町、バルセロナはスターリンの赤い町だったのです。
英国やフランスは、両国を疲弊させたくて高みの見物。第二次大戦の序章のような酷い内戦になったのですが、その時の恨みつらみがバルセロナに残っていた。その象徴がクラシコなのです。

EUは既存国のすべての国が承認しないと加入できません。
スコットランドもかつてはフランスの援助でイングランドと戦いましたし、バルセロナは歴史的にフランスと近い。
しかし、EUに加盟できなければ、独立は現実的とならない以上、外国が手を突っ込んで独立させるということはなかなか起こらないでしょう。

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竣工10周年

昨日、竣工して丁度10年になるお施主様にお招きいただいて、久しぶりに訪問してきました。
向かいの島との間に広がる穏やかな海は、変わらない魅力に満ち溢れていました。
木造平屋で、軒を低く長くして雨樋を作らないつくりでしたが、よく手入れされているため、建物の傷みもなく、とても綺麗に維持されていました。
お施主さんが、この家が、時間が経つにつれて良くなることが素晴らしいとおっしゃってることが心に残りました。
ご家族の生活が充実しているからこそそう思えると思うのですが、やはり、10年前にこの場所と向き合って生み出した空間は、一つ一つの判断が間違っていなかったと、改めて感じた時間でした。

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スコットランドと英国

もしもスコットランドが英国から独立したら、国名は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」からは変わらない。
しかし、セント・アンドリュー・クロスと言われるスコットランドの国旗が、ユニオンジャックから除かれます。
そうなると、イングランドと北アイルランドの国旗を足したものになるため、赤と白の二色になります。
当然ですが、国旗だけでなく、軍艦旗など国中のさまざまな旗もデザインが変わります。
なれるまでに時間がかかりそうです。

現在のユニオンジャック
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スコットランド独立後
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問題は、イギリス連邦などの英国国旗がくっついてる国の国旗。

例えば、オーストラリアの国旗は、スコットランド部分が除かれると思うので、こんなかんじになります。
スコットランド部分と同じ紺色を旗全体の色にしていますから、スコットランドが出て行くと、妙な空白ができます。
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このように、ユニオンジャックがくっついてる国旗は、ツバル、ニュージーランド、フィジー、ニューファンドランドなど。
意外と影響の大きな独立騒動です。

スコットランドとイングランド

スコットランドが英国から独立するとかしないとかもめています。
スコットランド王家とイングランド王家のややこしい話は、世界史で苦労した人も多いと思います。
いくつか映画も見ましたが、ややこしいのであまり深く関心持つこと無く今に至っています。
王家の話は別として、スコットランドの人とイングランドの人との間の微妙な関係は、子供の頃、児童文学で知ることが出来ました。
「宝島」を書いたスティーブンソンの作品「さらわれたデービット」です。

ある両親をなくしたイングランドの少年が、遺産をめぐって叔父に騙されて誘拐されます。
そこで遭遇したスチュアート王朝の復興を目指すスコットランド人騎士?と一緒にスコットランド高地を逃避行するという話です。
スコットランド人社会に迷い込んだ少年を道案内人に、謎に満ちた社会を旅する訳ですので、非常に興味深く読みました。

スチュアート王朝が、スコットランドにとって忘れがたき栄光のようです。
カソリックとプロテスタントの対立や、スチュアート王朝を支援したフランスとの確執、気質の違いなど、外部の目を通して見開かれる世界は、子供ながら興奮した記憶があります。

この表現方法は実は宝島も同じで、ホーキンズ少年を通して謎に満ちた船乗り(海賊)社会を旅をするという話でした。
出版当時から、少年たちは海賊の言動や風習に相当興奮したようで、海賊ごっこをして遊ぶのは、今にも至る定番と言ってもいいでしょう。日本でも、海賊物のアニメは今でも猛烈に人気がありますが、それもスティーブンソンのお手柄といえるでしょう。
身体能力が高いが粗野で直情的なスコットランド人と、ずるがしこくて高度に社会的なイングランド人。
この組み合わせも相当おもしろいのですが、日本ではスコットランドとイングランドの違いにはほとんど関心持たれなかったせいか、宝島に比べると、この「デービット」はメジャーな小説とはなっていません。
スコットランドとイングランドの気質や文化の差を体験するために最適な本だと思いますので、興味がある人にはぜひお勧めです。

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