お米

Farm Garden 黄昏
日本不耕起栽培普及会

僕はお米が大好きです。非常に。
お米と少しのおかずがあれば基本的には満足です。
毎日のことなので、安心できるものを食べたい。
そう思って、ここ数年、伊賀の農家から玄米で送っていただいて、コイン精米所で精米して食べています。
去年知り合った友人で、大学の隣の研究室の後輩でもあるコーセイ君が、秋田で農家の跡を継いで、不耕起栽培で米作りをしています。
その不耕起栽培をトラストの方式でやるというので、今年から一口参加させてもらうことにしました。

不耕起栽培という農法が面白そうなので、昨日2冊本を読んでみました。

岩澤信夫さんの「究極の田んぼ 」「新しい不耕起イネつくり―土が変わる田んぼが変わる 」です。

素人なので、技術的なことはわかりませんが、、、、
戦後の高度成長の中で獲得した農業技術を否定することなく、逆に現代に必要とされる安全性や、環境に調和した技術を追求したということだと理解しました。
元々は、省力化と地力を生かすことを目的として、耕さない水田を研究していたのですが、機械で植えることや、雑草のことなどの問題を解決していくなかで、冬の間も水をはることに到達します。
不耕起水田専用の田植機も開発しました。

福岡さんも耕さない畑に、直接籾を入れた泥団子を使って稲を育てることをやっていたそうですが、インディカ米向きで、ジャポニカ米との相性はよくなかったようです。

日本には、水田による稲作の到来よりも古くから米があったとする遺物が出てきています。
おそらく、焼畑農業のような畑作による米の栽培だったのではないかと思います。
福岡さんは弥生以前の農法に近いのでしょうか。

水田による稲作は、天然の沼地で始まったようです。
雲南省あたりで里芋栽培をやってた人たちが、稲を沼の泥に植え替えて育てることから始まったとか。
畑作と違う画期的なメリットは雑草対策です。ベトナムでは、川の中に稲を植えていたので、当然水面からのぞいてるのは稲穂だけ。
船と水泳で農作業をやっていました。

岩澤さんがやってる農法は、人工的に管理されている田んぼを、一年中水を張ってる沼に変えて、微生物やイトミミズ、昆虫など生態系をつくることで、肥料や雑草、病気、冷害などに打ち勝つ強く荒々しい稲にしようということではないかと思いました。

これは、稲作や農業だけに関わる話ではなくて、建築や文化や生活、工業や社会にまで関わることが暗示されているように思います。
20世紀初頭に近代主義が生まれて、第二次大戦後に世界に広まりました。日本やドイツはその最も優秀な近代主義の生徒だったと思います。
第一次大戦以後、国家総動員体制で大戦に備えるために、日本やドイツは国を作り替えました。
戦後は、経済発展に、国家総動員体制を応用し、経済消費大国として今に至っています。

日本(や20世紀の経済消費大国)は、軌道修正を行うべき状況に至っていると誰もが思っていますが、まだ明確な方向を皆で共有出来ているとはいえません。むしろバラバラな方向を向いてる感じです。

岩澤さんの農法が面白かったのは、様々な無農薬有機栽培の人たちと違って、イデオロギーよりも先にリアリティがあるところ。
あくまで農家が生産量をあげて、経営を楽にするために、自然農法を選択しようと言うところです。
戦後65年の間、多くのものを捨てて、多くのものを獲得しました。
20年前に非効率的であるから捨てられた物は、現代では効率的であるかもしれない。
岩澤さんが苦心して開発した不耕起栽培の田んぼが、戦後に近代化された田んぼよりも優れていて、それが4400年前の天然の沼のようなものであるなら、テクノロジーがぐるっと一周りした感じで、非常に面白いと思うのです。

ヤマタノオロチともののけ姫とゲゲゲ

水木しげるは昔から好きなので、朝の連ドラ「ゲゲゲの女房」はほぼ毎日観ています。原作も先日読みました。
以前、三次の仕事をした時も、怪談話がたくさん残っていて面白かったです。
しかし、僕が生まれ育った瀬戸内海沿岸は、そういう薄暗くって湿っぽくて、なにやら奥が深そうなものはあんまり無いのです。
お祭りも、テキ屋が並ぶだけで、胸踊るようなものも無いですし、大きないわれのある神社も、古墳も、遺跡も殆どないです。
三次市は、スサノオが降臨したとも言われる旧古代都市で、古墳の数も半端じゃないです。
出雲は言わずと知れた古代国家でした。

元々、日本海側は、越のあたりが栄えていて、出雲は越の植民地でした。その代官をだまし討でやっつけ、独立を果たしたのがスサノオ。アメリカでいうとワシントンのような役どころでしょうか。
それを大きくしたのがオオクニヌシ。
そして日本の領主の地位を確保したのですが、後にヤマトに負けてしまいます。
まつりごとのうち、政治をヤマトに取られ、祀りは出雲が仕切るという合意ができることで、国を譲るという形をとります。
その出雲や、友邦の吉備が、宗教の世界や、妖怪の世界の本山として、今に至っている。。。。と僕は思っています。

水木しげるの実家の元々の家業は、北回り船の回船問屋ですから、水木しげるの妖怪好きは、一家に伝わる出雲の伝説・・・ではなく、仲が良かったのんのんばあと呼ばれてたシャーマンっぽいおばあさんの影響でしょうか。

水木しげるの奥様の出身地は、古代出雲の中心地に近く、もののけ姫の舞台の下流あたりだと思います。
学校では、古代は縄文と弥生しか習わなかったのですが、縄文と弥生の隙間に、実は非常に面白い文化があったことを匂わせている映画でしたね。
海賊以外は日本史に出てこない瀬戸内の民から見ると、出雲や吉備は非常に奥が深く、それを秘めてる感じが非常に羨ましいです。

W杯初戦とメディアとオシム。

昨日は、日本は見事な連携で強豪のカメルーンに勝つことができました。
岡田監督の大胆な方針転換と、チームの一致団結が、結果につながったと思います。
監督の勇気と、スタッフの苦労、選手の努力を評価したい。
その逆に振れたのがカメルーンでした。
報道によると、外国のメディアは、、、
イングランドやデンマークは低調な試合。ロシアはHONDA Good!。イタリアのリッピは評価。
イタリア人好みのサッカーだったと言うことのようです。

興味深かったのは、オシムのコメントです。
常に前向きで、あたたかく、大きくて深い。
選手やチーム、サポーターだけでなく、メディアに対しても。

オシムがユーゴ代表監督をしているとき、ユーゴ国内の民族対立が激化し、内戦が始まりました。僕がお隣のトルコやギリシャを旅していた時ですので、その時の驚きと、空気感はなんとなくわかります。
そして代表チームも崩壊し、オシムは監督を辞任します。
ひとつの国で仲良くやっていたはずなのに、民族対立が激しくなっていって、それに大国の思惑や、民衆のヒステリーが加わり、誰も止められない事態になりました。
あの悲惨で多く人たちが苦しんだ激しい内戦が始まった原因の一つに、メディアもあると言っていました。
メディアを恨んだとしてもおかしくない状況でありながら、オシムはメディアと対応するとき、常に明るくジョークを忘れず、しかし繊細にそれをコントロール(いい意味で)しようとしているように思います。
上記のコメントでも、メディアの持つ弱点とストロングポイントを十分考慮した上で、明るい未来につながる発言をしていることが伺えます。
母国から遠く離れた外国のサッカーの監督という、非常に特殊な専門職であったのですが、文化や社会のあり方について学ぶべきことが多い人です。

W杯に広島から出場

今回のW杯では、広島の選手もボールも選ばれなかったのですが、レフリーのホイッスル(モルテン製)が出場するようです。
レフリーは、ゲームの指揮者とも言える存在で、90分の流れを作り出す存在です。
ホイッスルは、指揮者の指揮棒のようなもの。
深く考えられたホイッスルが、数々の名勝負を生むことになると思います。
ぜひ期待したいです。