負け方が下手な日本

今朝のブラジル戦では、奇跡を夢見る10分間と、45分間の地獄を味わいました。
勝つ勝つと宗教じみた呪文を唱えてる時点でやばいなとは思っていましたが。

思い通りに行かないと、一気に崩れてしまうのは、ドーハの悲劇から成長してないんじゃないかとも思ったけど、よく考えてみれば意外と多いパターンだと思う。
島国のおかげでほとんど外国と勝負することは無かったのです、実は日本はよく負けている。それも自滅的な崩れ方で。
今でこそ外国と勝負するのはスポーツや文化、芸術などの分野ですが、昔は戦争が張り合う主な手段でした。
一番激しくダメージとして残っているのはアメリカとの勝負に負けた時のことですね。今でも社会にはダメージが大きく残っています。もちろん日本国内だけでなく関係した国々にも。もっと上手に負ける方法はいくらでもあったのに。
白村江の戦いも激しく負けた。日本が島国にひきこもってしまうようになったのも、これがきっかけでしょう。慢心が原因。
勝ったと錯覚している元寇も日露戦争も内容を見れば勝ち点1の引分け。惨敗の可能性があったものを、なんとか引分けに。コンフェデのブラジル戦やドイツとのテストマッチのように、全力で勝負すれば強豪と引き分ける力はある。
強引に始めた日清戦争も、その後三国干渉で勝ち点を放棄させられたので、これも勝ち点1。やるべきでない戦争でした。
朝鮮半島や中国大陸への無為な侵攻は衰弱戦の末敗北。莫大な迷惑をかけたことも大きな損失です。これもやるべきでない戦争。

負けた理由は、不純な動機と予測の甘さ、準備不足と負けることの対処不足。今回のW杯も同じですね。
辛うじて引き分けたものは、それなりの準備をしていたし、勝負を甘く見ていなかった。

その点、ロシアは上手かった。負けたと見せかけてどんどん奥に誘い込んで、冬の到来を待って一気に殲滅する。
ナポレオンもヒトラーもそれで自滅した。
日本はそこまでとはいわないまでも、負けている状態でも、メンタルをコントロールし、逆襲を狙うくらいの余裕が欲しい。

潜在的な力が発揮できないことがこの3試合で一番悔やむことであるなら、先ずは負け上手になるということが最大の課題だろう。
負けを恐れる心が、取り返しのつかない惨敗を生むし、負けから学ぶ余裕も失う。
勝ち続けなければならないと思い、負ければ全ておしまいという思いこみがバランスを失って冷静な判断を奪う原因にもなっている。
勝負の世界は勝つこともあれば負けることもある。
勝っても負けても、冷静に前を向いて課題を解決するという姿勢が何より大切だと、この3試合は教えてくれたと思う。

日本が炎天下で二試合もやるハメになった理由

ジーコは記者会見で、テレビ局の都合で2試合連続で炎天下の時間帯に行うことになったことを嘆いていた。
32チームの参加国で、2試合も炎天下に組まれているのは日本を入れて3チームだけのようです。(セルビアモンテネグロ、トーゴ)
日程表を見ると、ゲーム番号と、実際の開催順がずれているところが2ヶ所ある。
2006年06月12日(月)
12) 15時 F組: オーストラリア(F3) 3 – 1 日本(F4)
10) 18時 E組: 米国(E3) 0 – 3 チェコ共和国(E4)
09) 21時 E組: イタリア(E1) 2 – 0 ガーナ(E2)
2006年06月13日(火)
14) 15時 G組: 韓国(G3) 2 – 1 トーゴ(G4)
13) 18時 G組: フランス(G1) 0 – 0 スイス(G2)
11) 21時 F組: ブラジル(F1) 1 – 0 クロアチア(F2)

本来なら、6月12日は、9,10,11 13日は12,13,14だったのだろうが、微妙に崩れている。
日本は13日の炎天下が、12日の炎天下に変わっただけなので、大きな差はなかった。
14の韓国が無理矢理13日の炎天下(つまり日本や韓国ではPM10)に押し込まれて、12の日本が前の日に、11が14の位置に、9が11の位置に。ということが予想できる。トーゴは韓国戦を移したあおりを受けて2試合炎天下になるハメに。

問題は2006年06月18日(日)
28) 15時 F組: 日本(F4) – クロアチア(F2)
27) 18時 F組: ブラジル(F1) – オーストラリア(F3)
29) 21時 G組: フランス(G1) – 韓国(G3)

普通に並べれば、、、 
27 ブラジル×オーストラリア
28 日本×クロアチア(日本AM1:00)
29 フランス×韓国
だったのだろうが、独占放送をした朝日テレビが、ブラジル×オーストラリアとチェンジして貰ったのだろう。

番組のスポンサーでもあるナイキは敵チーム(ブラジル、オーストラリア、クロアチア)のスポンサーでもあるわけで、どっちの味方をしたのか疑問のテレビ放映事件だった。
しかし無料でテレビを見れたわけだから、テレビ朝日とスポンサー(ナイキ、セゾンカード、キリンなどなど)には感謝すべき立場なのだろう。

負けた試合蒸し返しているわけではないが、日本のサッカー界のゆがみの一端が現れた事件だと思う。
Jリーグは低潮なのに、代表だけは盛り上がり、スポンサーが意味のない時期に親善試合をしたりする。
日本人選手の海外移籍も、テレビの放映権とセット販売だし。

選手がベストなプレーを行う環境を作ることが廻りの人間にできることだと思うのだが、、、

変わらない 変われない

昨日のクロアチア戦。
勝って欲しかったけど、負けなくてホッとしたという試合だった。
負けてたらブラジル戦は消化試合だけど、引き分けたおかげで、ブラジルに2点差で勝つという奇跡を祈るチャンスを与えられたということ。
試合が終わるまで、何が起こるかわからないというのが勝負事の面白さだけど、サッカーは特にその要素が強い。
衰弱も激しいし、調整期間も短いので、次やれることと言えば、個人が持てる力を出し切れるかどうかと言うこと。
宮本が出れないので、これまで変わらなかったことを変えるチャンスだけど、果たして変えてくるのか?
4バックで戦うことが最善だったはずなのに、宮本が苦手だからと言う理由でそれを拒んできた。
宮本のかわりに坪井を入れて4バックにするだろうけど、左の守備の穴を中田コで埋めれば完全なのだが、そこは変わらないだろう。

しかし、アジア予選でやったことをW杯でも同じようにやるっていうことは、メンバーが替わらないので当然と言えば当然だけど、いきなり奇跡が連発して起きるというほど世の中甘くないという事か。
次も奇跡は起きないだろう。
全力を出し切ることで、ブラジルに2点差で勝つ。
今ひとつ調子が上がらないブラジルがメンバーを落としてくるし、日本のテレビ局のマネーの力がブラジルには及ばなくて夜間の試合になることもプラスに働く。
ブラジルに失点させるということは非常にハードル高いけど、体調不良の俊輔に替わって遠藤にFKを蹴らせるというのもあっていいし、早い時間帯からの大黒の裏への飛び出しや、巻の高さやゴールへの執念にかけてもいいのではないか?
メンバーに選ばれて当然と言っているFWが軒並みゴール前のチャンスでパスをして勝機を潰しているし。

22日は、チェコ×イタリア、日本×ブラジル、クロアチア×オーストラリアという崖っぷち3試合があるので、白熱した日になりそうです。

ジーコは覚醒するのか?

風邪なのか、もう2週間も微熱が続いているので、月曜日の夜はビタミンCと共にテレビの前に陣取ることになった。
あれから4年、楽しみにしてきたはずなのに、何故か醒めて観ている自分がいた。

その後、あれは何だったのかを思いめぐらせたり、ビデオを巻き戻して10分間の悲劇をもう一度観たり、わずかな選手達の言葉を探したり、、、あの一瞬を確かな現実であることを再確認しようとしていた。
一言で言うと、勝負に負けたということなんだが、これまでの4年間の様々な行動が、その10分間に凝縮されているわけで、なんとか一つのストーリーとしておきたいということ。

これから修正できることと、できないことがある。
最も問題だった、「指揮官がいなくてキャプテンが二人いる」という組織を放置するかどうかと言うことは修正できる。

小野を入れたとき、ジーコは中盤を補強したかったが、中澤は守備より点を決めてくれと前線に送り出したという。
中田と小野が揃って前に行った跡に生じた穴は、選手同士の話し合いの結果であるから仕方がないと言って片付けていいものか?
又、1-1となったとき、勝ち点1を確実にするのか、それともリスクをかけて勝ち点3取りに行くのかという判断を、ジーコは下していない。結果、逆転。
そこではじめて4バックにして大黒投入という点を取る意志を表明したけど、更に逆襲を食らっただけで終わった。

グループで仕事や活動をしたことがある人ならわかると思うが、個々のメンバーの力を最大限発揮させるには、それぞれの自己責任能力を上げ同時に自由を与えることは非常に有効であるが、グループの方向性を、みんなのディスカッションでは決まらない。納得できる基本的な方向性があった上で、細部を話し合って決めるというのならわかるが。

クロアチア戦に向けて、当然修正点もあるから、それは修正できると思う。
しかし、再び想定外の事が起こったとき、攻撃(中田)と守備(宮本)では又違う判断をするだろう。
ジーコが指揮官として、適切な人員投入と、ここぞという場面でタクトを振って指揮すること。この二点ができれば、クロアチアはおろか、ブラジルを本気にさせるゲームができると思う。
みんなが別の方向を見たり、パニックに陥るよりも、多少ピントがずれても同じイメージを共有して行動する方が確実に確かな結果につながるから。
ジーコがどうしても相変わらないなら、トルシエを捨てたように、選手達で意志決定システムを作るしかない。

初戦負けたチームで決勝トーナメントに進んだチームは2大会で1チーム(2002年にアルゼンチンに初戦で負けたトルコ:結果3位)だけという。
しかし、日本かクロアチアのどちらかが決勝に進むと思う。
自らスタート地点を大きく下げてしまった状況だけど、背水の陣で戦いきれば、活路は開けてくると思う。

布陣としては、ミドルが打てる小笠原を入れる(つまり4バック)といいだろう。中田コを入れれば完璧だと思う。