ちょっとした仕事で福岡に行ったので、香椎に行ってきました。
共同住宅が建ち並ぶ地域の中に、磯崎新がプロデュースした建築群がすっきりと建っていました。
丁度大学を卒業する前後あたりの時期に建ったと思います。
バブルが終わり、ながい不況社会が始まるあたりでした。
それなりに生活感もあり、きちんと住みこなされている部分もあり。時代を超えて残ってゆくだけの魅力を持っていました。
コールハース棟の外壁の石垣風コンクリートは、微妙に感情をくすぐるものがありました。
その後の活動を見ると、非常にいい人選だったと思います。
建築
広島新野球場
岩国の防衛施設庁がらみのいざこざに巻き込まれて妙な展開になった野球場のコンペが、再度仕切り直しになって、最終案が選ばれたようです。
最優秀案は、仙田満さんの事務所。かなり意外な結果でした。
新幹線から野球場が見えるというアイデアは、最初はええええと思いましたが、半日考えてみると、それはそれで面白いなと。
試合中に新幹線で通り過ぎる南側の窓際の人だけでなく、試合がない昼間に通り過ぎる人にも、何らかのメッセージを伝えることができると思います。
どこかでそんな風景を見たなと思ったら、名古屋。
新幹線から瑞穂競技場の照明が見えたような記憶があります。
名古屋工業大学に勤めていた仙田さんが、新幹線から競技場を見ていた印象が、今回の案の背景にあるのではないかと勝手に深読みしてしまったのですがいかがでしょう?
秋吉台国際芸術村
秋芳洞の帰りに、以前から気になっていた磯崎さん設計の秋吉台芸術村に立ち寄ってみました。
幹線道路から外れた山裾に位置しています。棚田に適していそうな場所ですから、元々は田圃だったのかも知れません。
ゲートの外に駐車場が配置され、居住棟横を歩きながら、最上部に位置するホールに向かうという動線となっています。
コンパクトなホールとギャラリー、多くのスタジオ、レストランや十分な量の宿泊施設などしっかり作り込んでいるので、使用頻度は著しく少ない建物のようですが、場の持つ魅力が最大限かき立てられています。
面白そうな企画も多々あるのですが、広島から行くにはちょっと遠いですね。
しかし、立地や規模、利用目的や頻度、維持管理など、文化と建築と社会の関係性の実情を見ると、複雑な気持ちにはなります。
Atlas/地平
今日の夕方から、読みかけだったコールハースの本を読んだ。
北京のテレビ局のコンペで勝ち、基本設計に邁進する時期に、密着取材して吹っ飛ばされたライターの貴重な記録。
結果の建築を見ただけでは十分理解しきれない設計者の魅力が、余すことなく感じられ、読み終えたときには肩の力が抜けてホッとしたくらい臨場感に溢れてた。
途中、生み出す空間を「Atlas」と表現しているところがあり、その単語だけで彼のことはかなり理解できたと思う。
世界中を飛び回り、単なる物質の配列の美しさだけを追求することなく、社会や政治や文化、歴史、物流など多岐にわたる「動き」記述するものは、図面でもMapでもない。そうAtlas。
地球の全ての動きを吸収し、それを一つのAtlasとして構築することが彼のライフワークといっていいだろう。
知ってる人では、近藤等則がコールハースと同じ匂いがした。
コールハースはバイキングの子孫でインドネシア育ち。
近藤等則は来島村上水軍の子孫で今治育ち。
バックミンスターフラーもひょっとして近いタイプかも知れない。アナポリス育ち。