万城目学さん

[amazon_image id=”4916199820″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]鴨川ホルモー[/amazon_image] [amazon_image id=”4043939027″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]ホルモー六景[/amazon_image] [amazon_image id=”4167788020″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]プリンセス・トヨトミ[/amazon_image]

中学生の息子が薦めてくれたので、万城目さんの小説をいくつか読んでみました。
デビュー作である「鴨川ホルモー」は、京都の大学に通う大学生達に伝わる秘密の行事を描いたもの。
京大生が主人公で、京都の大学や地域がかなり具体的に出てくるにも関わらず地元民的目線ではないので、実際京都の大学に通ってた人かなと思ったらビンゴでした。
僕も学生時代、休みのたびに京都の庭や寺を廻っていたので、なんとなくの気分はわかります。
「ホルモー六景」は、「鴨川ホルモー」の外伝的な短篇集。
構成がしっかりしてるので、外伝が厚みを深めるいい感じに仕上がっています。
「プリンセス・トヨトミ」は、大阪が舞台。
大阪城の地下に・・・・という話。
ある商店街が濃密に描かれています。著者の育った街だそうです。
大阪育ちで京大法学部卒。この小説でも、内閣法制局に出向した経験のある会計検査員が主人公で出てきます。
子供の頃に妄想しがちな愉快なお話をファンタジーとして作品に仕上げてるというところは面白いですし、都市や街といった空間的スケールの描き方も面白い。
ヤングアダルト世代からお年寄りまで楽しめる時空間の物語です。

2011年を12冊で振り返ってみます。

[amazon_image id=”4569794769″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]ザッケローニの哲学[/amazon_image]
1月
李忠成のシュートが炸裂したアジアカップから2011年が始まりました。
人を活かし文化を愛する名将が率いるチームの活躍に期待したいです。

[amazon_image id=”4140814543″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略[/amazon_image]
2月
モノやサービスを、シェアによって流通させる仕組みが、通信環境の発達で新しい広がりを生みつつあります。
通常の商売では成り立たないことでも、シェアであれば成り立つものはたくさんあります。
生活を豊かにし、文化の質を向上させる社会のあり方に大きなヒントを得ることができます。

[amazon_image id=”4881818120″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]みんなの原子力発電[/amazon_image]
3月
震災以降、様々なニュースで原子力発電関連の情報が流れてきましたが、専門用語がわかりにくい上に情報そのものが混乱していたために何がどうおこっているのか?何がどう危険なのか?非常にわかりにくかった。
原発に関する基礎的な情報をわかり易く書いた本。

[amazon_image id=”4487795427″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]原子力発電で本当に私たちが知りたい120の基礎知識[/amazon_image]
4月
原発とその事故による被害等の基礎知識。
社会に対立する大きな派閥がある場合、両者の意見に耳をかたむけることは最初の一歩です。
長らく原発に反対していた人の情報や意見をまとめた本です。

[amazon_image id=”4163743200″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]しあわせ節電[/amazon_image]
5月
原発が次々止まり、節電が長期的な課題になって来ました。
エネルギーと生活をどうするのか?
鈴木さんは言語学の大家で、学生時代教科書にも使わせてもらった面白い人。

[amazon_image id=”4022733969″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]ウェブ進化 最終形 「HTML5」が世界を変える (朝日新書)[/amazon_image]
6月
スマートフォンやタブレットによって、ウェブを持ち歩けるようになってくると、HTML5の重要性が増していきます。
もうすぐ手が届く環境のために心の準備をする本。

[amazon_image id=”4864100985″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]日本が融けてゆく[/amazon_image]
7月
政府の中から国を変えようとして、経産省から追い出された古賀さん。
日本の病の重さを身をもって教えてくれました。

[amazon_image id=”4344982290″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]内部被曝の真実[/amazon_image]
8月
国会の委員会で魂のこもったメッセージを発した児玉教授。
いろいろな寄せ集めの本ですが、あのときあのタイミングで読むための本です。

[amazon_image id=”4776207001″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]2時間でいまがわかる! 放射能の真実! [/amazon_image]
9月
低線量の放射線で、僕達の健康はどれだけのリスクがあるのか?
原子力の専門家は多くテレビで見かけますが、低線量放射線によるリスクの専門家はテレビでは見ることができませんでした。
この本は、その専門家と、抜群の質問力でわかりやすい情報を引き出す辛抱さんの本です。
気になる方は一家に一冊常備しておくと安心。

[amazon_image id=”4062171260″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]スティーブ・ジョブズ I[/amazon_image]
10月
ジョブズ死す。
地球上から一人の英雄がいなくなってしまった。

[amazon_image id=”4393333012″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]沖縄の真実、ヤマトの欺瞞 米軍基地と日本外交の軛 (神保・宮台 マル激トーク・オン・デマンド)[/amazon_image]
11月
防衛大臣や沖縄防衛局の失言が続き、普天間基地移転が微妙な空気になって来ました。
米軍が普天間にこだわる理由がこの本に書いています。

[amazon_image id=”4582767273″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]柳宗理 エッセイ[/amazon_image]
12月
柳宗理さんがお亡くなりになりました。
心からご冥福をお祈りします。
ほんとうにありがとうございました。

「本へのとびら」と「真夜中の庭」

[amazon_image id=”4004313325″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]本へのとびら――岩波少年文庫を語る[/amazon_image] [amazon_image id=”4622076004″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]真夜中の庭――物語にひそむ建築[/amazon_image] [amazon_image id=”4916199820″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]鴨川ホルモー[/amazon_image]

たまたま、宮崎駿さんの「本へのとびら」と、植田実さんの「真夜中の庭」を前後して読みました。
「本へのとびら」は宮崎さんが岩波少年文庫からお気に入りの50冊をチョイスして、短いコメントを寄せたもの。ジブリが制作した非売品の「岩波少年文庫の50冊」を第一部としてまるごと載っけています。第二部はBSなどで放送された宮崎さんへのインタビューなどを載っけています。
「真夜中の庭」は植田さんが本に描かれた物語の中に存在する場所や空間についてのエッセイ。様々な雑誌等への連載をまとめたものです。
宮崎さんは昭和16年生まれ。僕の母と同い年。建築評論家の植田さんは昭和10年生まれの僕の父と同い年。
親の世代が書物を通して心に描いた風景を読み取れましたし、自分との時間の差も感じ取れたという意味でも非常に面白かったです。

僕が子供の頃、月に一冊好きな本を買ってもらっていましたが、岩波少年文庫は好きなだけ買っていいというルールもありました。
あれを読めとか、これは読むなとかという制約は特になかったのですが、自由に手に入る岩波少年文庫という広い地平から得た物はすごく大きかったように思います。

今、さっと思い出す物といえば、、、、
チャペックの「長い長いお医者さんの話」、アミーチスの「クオレ」、「プー横町にたった家」、「とぶ船」「シャーロックホムズの冒険」
岩波のハードカバーではアーサーランサムシリーズ、ドリトル先生シリーズなどなど。
自分で選んだ物よりも、最初に親がまとめて買ったもののほうが印象に残ってるように思います。自分に近い人が選ぶ意外性のある出会いの方が、いい出会いができるという事かもしれません。

最近は中三の息子が、面白かったから読んでみれば?と本を薦めてくれるようになりました。
今朝読んだのは万城目学さんの「鴨川ホルモー」。
若干コミカルなファンタジーが好きなようです。これも自分ではまず手に取らないものなので、意外性があって楽しめました。

グラミー賞とwinnyとsony

ジョブズがグラミー賞をもらったようです。
「音楽を世界中にデジタル配信することを可能にしたこと。同時に、数々のソフトウエアを開発し、ミュージシャンたちのレコーディングを安価で容易にしたことなどにより、音楽界に著しく貢献した」というのが受賞理由。
Appleがこのジャンルに進出する事は、ビートルズのアップルレコードとの協定で長く制限されていたことでした。
ジョブズのAppleの音楽に関するビジネスが、ビートルズのアップルレコードと混同する消費者がいるから商標権を侵害するということで。
それでAppleは音楽に関するビジネスに参入するときに多額の費用をアップルレコードに支払う事にしたそうです。
Appleは携帯音楽プレーヤーを皮切りに、ネットでの音楽販売や携帯電話などへの参入が続き、パソコンを超える収益を生む基幹事業となって今に至っています。
以前から言われているのは、Appleがやってきたことは、Appleが師匠として目指すべき存在として君臨してたSONYがすでにやってきたことだったということ。
パソコン、OS、携帯音楽プレイヤー、音楽の流通、携帯電話など。ほとんどがSONYが先輩と言っていい。
しかしSONYはAppleに負けてしまって、追いつける可能性もない。
既得権益を自らに内在してしまって新しいビジネスに参入できなかったということなのでしょう。

ジョブズがグラミー賞をもらった前日、winnyの開発者が訴えられていた裁判で、開発者が無罪となったというニュースが流れました。
かつて、インターネットが一般に普及したとき、個人と個人の間に直接情報交換する手段ができました。そのとき、そのツールを開発した技術者が告訴され、それをビジネスにしたジョブズがグラミー賞を取り、その既得権益に尻込みしたSONYは今のような会社となってしまったわけです。
新しい技術が開発され、若い人たちが熱意を持ってそこに飛び込んだとき、それをどうとらえるのか?そのときの対応が、結果に現れた事象だと思います。

新しい世代の動きを、現実の世界に調和するように既得権益を調整し、自分たちのビジネスに取り込んだAppleは企業の存在を大きくシフトしましたし、ジョブズは大きく賞賛されました。
新しい世代の動きを、既得権益への挑戦ととらえた行政や、古い企業は、裁判で負け、ビジネスで大きな敗北をしました。
こうしたことは、音楽の流通のようなことだけでなく、日常にありふれてるような事だと思います。目の前に現れる新しい現実、自分がそれにどう向き合うのか?
勇気とそれを裏付ける自信。自信を持つにふさわしい日常の行動。
その重要性を感じたニュースでした。