内澤旬子さん

[amazon_image id=”4000258362″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]飼い喰い――三匹の豚とわたし[/amazon_image]

内澤旬子 空礫絵日記

以前、ニコニコ動画で対談に出ていた内澤さん。
イラストレーターであり、ライターであるご自身が、これまで取材してきた世界の屠畜に関する話。
そして自分が豚を飼って、食べた話。非常に興味深かった。
その三匹の仔豚を飼い、食べるまでの一連の話が一冊の本になったものが「飼い喰い――三匹の豚とわたし」です。
日本人の魚と家畜の距離感の違いが、他の民族に比べると大きく異なっていることはよく話題となっています。
嬉々として美味しそうな魚をさばく。のに、牛や豚、鶏に対しては、どこか心理的なプレッシャーがある。妙な動物愛護意識なのか?
内澤さんは、世界中を取材しているうちに、農家に豚が飼われていて、当たり前のようにさばかれて、御馳走になることに驚きます。
命と食べることの間にある自然な関係がそこにあるのでしょう。
そして、日本での屠畜を取材するうちに、自分でも庭先養豚を・・・となったわけです。

一見、養豚とはとても縁が無さそうな方ですが、発想がシンプルで行動が大胆。
このプロジェクトでも、大勢の協力者が相当な援助をしていることでもわかるように、大変興味深いキャラクターです。
実際に豚を飼いたいと思ってる人には、参考になると思いますが、何よりも、内澤さんという人物をこの一冊で知ることができると思います。

命と食を考えることは、現在最も大切で、ホットなテーマだと思います。
人類が誕生するはるか昔から、命はあり、食はありました。
人間の論理で命や食を考えるのではなく、命や食の大きな世界の中に、僕達人類も参加してると思うことができるなら、日常のいろいろなことがもっと整理できると思います。

食のために命を差し出してくれたことに対する「いただきます」。
食のために力を尽くしてくれた料理人に対する「ごちそうさま」。
これからは、言葉に気持ちを入れて暮らしていこうと思いました。

宮本常一 歳時習俗事典

[amazon_image id=”4896949765″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]宮本常一 歳時習俗事典[/amazon_image]

宮本常一の「歳時習俗事典」を読んでみました。
連載されたのが昭和30年代なので、その当時の地方の習俗は殆ど残ってないんじゃないかとも思えます。
かつては、日常生活や主要な季節に、豊かなイベントがあり、特に正月やお盆、農業に関わるものが中心でした。
今残っている僅かな習俗も、そのルーツを振り返って、大切に行うことが、豊かな文化を支えることに繋がると思います。

最近読んだ本

読書メーターという読んだ本や読みたい本を登録し、他の人の書評などとリンクして楽しめるサイトがあります。去年の秋から始めてみて、219日で156冊。1日平均0.7冊のペースで本を読んでいるようです。年間250冊、月に20冊ペースというところです。
建築の本や歴史の本、サイエンスや料理の本などジャンルは幅広く、著者も多い人で2冊までですから、一つのテーマでも複数の視点の本を読んでるといえますね。
ここ数カ月で面白かった本を少しピックアップしてみます。

振り返ってみると、日本やアメリカ、欧州が今後どうなっていくのか?そのあたりが一番気になるところですから、そういう本をいくつか読んでいます。
現在の建築や生活文化のルーツは気になるところですので、何がどのあたり時期のものをルーツとしているのか?ということがいくつかはっきりしました。
歴史に関する本は、あまり対象範囲を広げないようにしようと思いつつ。。。

●経済に関する本

[amazon_image id=”4478017158″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門 もう代案はありません[/amazon_image]
円高、デフレなど日本の経済にのしかかる重いダメージの理由を、シンプルなマクロ経済から解き明かしてくれます。

[amazon_image id=”4047102334″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)[/amazon_image]
デフレが止まらない。理由は簡単で、生産年齢人口が減っているから。
じゃあどうすべきか・・ということが書かれています。
地方の経済を長く分析している著者なので、現状の把握が具体的です。

[amazon_image id=”412102124X” link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]日本経済の底力 – 臥龍が目覚めるとき (中公新書)[/amazon_image]
日本の経済の希望を感じさせてくれます。

●建築に関する本

[amazon_image id=”4306052389″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]建築家・吉田鉄郎の『日本の建築』―JAPANISCHE ARCHITEKTUR,1952 (SD選書)[/amazon_image]
吉田鉄郎氏が半世紀前にドイツ語で書いた日本建築史の本を和訳したものです。
異文化の人に説明するために書かれたものなので、解りやすく、奥が深いものとなっています。
住宅や庭について書かれたものも和訳されているのでぜひ読んでみたい。

[amazon_image id=”4562047488″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]サグラダ・ファミリア: ガウディとの対話[/amazon_image]
アントニオ・ガウディやサグラダファミリアに関する本はたくさん出ていますが、この本は写真も外尾さんの文章も素晴らしい。

●住まいに関する本

[amazon_image id=”4782411057″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]江戸時代 日本の家―人々はどのような家に住んでいたか[/amazon_image]
日本の伝統的と思ってる住宅の形式や要素の多くは、江戸時代の武家の住まいを由来とするものが多いようです。

[amazon_image id=”4022734159″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]世界一のトイレ ウォシュレット開発物語 (朝日新書)[/amazon_image]
TOTOのトイレ開発の中心人物が書き下ろしたウォシュレットの開発秘話。
日本が誇るウォシュレットはいかに偉大なのか?そう思わずにはいられません。

●その他の本

[amazon_image id=”4766001737″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]花森安治のデザイン[/amazon_image]

[amazon_image id=”4306072746″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]アメリカ大都市の死と生[/amazon_image]

[amazon_image id=”406258400X” link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]平清盛 福原の夢 (講談社選書メチエ)[/amazon_image]

[amazon_image id=”4880083240″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]悲劇のヴァイキング遠征―東方探検家イングヴァールの足跡 1036‐1041[/amazon_image]

[amazon_image id=”4062584387″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]アーリア人 (講談社選書メチエ)[/amazon_image]

[amazon_image id=”439113134X” link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]腸をきれいにする特効法101―腸内細菌のバランスが全身の健康を左右する![/amazon_image]

万城目学さん

[amazon_image id=”4916199820″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]鴨川ホルモー[/amazon_image] [amazon_image id=”4043939027″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]ホルモー六景[/amazon_image] [amazon_image id=”4167788020″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]プリンセス・トヨトミ[/amazon_image]

中学生の息子が薦めてくれたので、万城目さんの小説をいくつか読んでみました。
デビュー作である「鴨川ホルモー」は、京都の大学に通う大学生達に伝わる秘密の行事を描いたもの。
京大生が主人公で、京都の大学や地域がかなり具体的に出てくるにも関わらず地元民的目線ではないので、実際京都の大学に通ってた人かなと思ったらビンゴでした。
僕も学生時代、休みのたびに京都の庭や寺を廻っていたので、なんとなくの気分はわかります。
「ホルモー六景」は、「鴨川ホルモー」の外伝的な短篇集。
構成がしっかりしてるので、外伝が厚みを深めるいい感じに仕上がっています。
「プリンセス・トヨトミ」は、大阪が舞台。
大阪城の地下に・・・・という話。
ある商店街が濃密に描かれています。著者の育った街だそうです。
大阪育ちで京大法学部卒。この小説でも、内閣法制局に出向した経験のある会計検査員が主人公で出てきます。
子供の頃に妄想しがちな愉快なお話をファンタジーとして作品に仕上げてるというところは面白いですし、都市や街といった空間的スケールの描き方も面白い。
ヤングアダルト世代からお年寄りまで楽しめる時空間の物語です。