宮本常一 歳時習俗事典

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宮本常一の「歳時習俗事典」を読んでみました。
連載されたのが昭和30年代なので、その当時の地方の習俗は殆ど残ってないんじゃないかとも思えます。
かつては、日常生活や主要な季節に、豊かなイベントがあり、特に正月やお盆、農業に関わるものが中心でした。
今残っている僅かな習俗も、そのルーツを振り返って、大切に行うことが、豊かな文化を支えることに繋がると思います。

清盛の苦境

NHK大河ドラマ「平清盛」の視聴率が今ひとつのようです。
制作側としては、いろいろやりたいことを盛り込みすぎたので、焦点がぼやけたかな?とは思います。
我が家は、録画したものをまとめて観る形ですので、毎週楽しみにしてる・・・というほどではありませんが、期待しつつ観ています。
「平清盛」は、時代背景やグループ間の因縁のようなものを、かなりしつこく描いているので、まじめに観てると内容に深みが出てきて面白いと思っています。

源氏は摂関家と関係が・・・というセリフがありました。
確かに、源氏は藤原摂関家と歴史的な因縁が深いのです。
源氏というと、武士の一門というイメージがありますが、本来は皇籍を離れた天皇の子供や孫の一族で源姓を名乗っている一族を言います。
嵯峨天皇の子供が50人いたので、皇位継承権のない子供が皇籍を離れて嵯峨源氏となったのが始まり。
その後、村上天皇、清和天皇などの子孫が源氏を名乗るようになっていきます。
これら源氏を生んだ天皇の后のほとんどが、藤原摂関家出身のようです。
つまり、藤原摂関家から嫁入りした后が生んだ子供のうち、宮廷から出ることになった子供に、源姓を与えて貴族としたというのが、そもそもの源氏というもののようです。
当時は、まだ女系社会だったので、子供を養育するのは母の実家の責任なので。
今で言うと、天下りのようなものですね。事務次官になれない官僚を、関係する企業や特殊法人が社長に迎え入れる・・・といった感じでしょうか。
そんなこんなで、権力の中枢から外されつつあった藤原摂関家と落ちぶれた河内源氏の源為義が・・・というのが今後の展開に続いていくと思います。

保元の乱からは、多少スピードも上がってくると思いますので、期待したいです。

平清盛 その2

大河ドラマ第一話が終わって、早速世の中がざわざわしてる感じです。

一つは映像表現について。
どこかの自治体の首長が、気に入らなかったようです。
確かに、時代劇よりも映画に近い表現なので、時代劇を期待していた人は多少びっくりしたかもしれません。
ただ、坂の上の雲や龍馬伝あたりからこの路線だったと思います。
地上デジタルに切り替わる時期に、撮影機器がごっそり変わったようで、映像の階調の深みを表現できるようなカメラが導入されたようです。
龍馬伝でもこまかな土埃が舞う空気感が表現できていましたし、小汚い岩崎弥太郎が話題になったと思いますが、恐らくアナログ時代ではそこまでの表現力は無かったと思います。
坂の上の雲も、一切スタジオで撮影してないんじゃないかと思うくらい自然な光のようなグラディエーションや、吹雪や闇が表現できたように思います。
今回は、海賊や平安時代の京の風景を描くところから第一話がスタートしたので、大河ドラマが公共事業かのように勘違いした人がびっくりしたのでしょう。気にせず、今のまま頑張って欲しいものです。
平安時代の風景といえば、今昔物語やそれを元に書かれた芥川龍之介の小説が有名ですが、あんなもんじゃないですね。
京の朝廷や貴族の政治と、温暖化による飢饉が重なった日本が一番しんどい時期でしたので、そこを直視しない限り、東国武士による政権奪取は理解出来ないとは思います。

もう一つは、独特な用語について。
朝廷の中の法皇や上皇、天皇など天皇家が権力を握った時代、それを表現するために王家という言葉を使っています。
恐らくこういう場面で使われるのは初めてだったので違和感があったのですが、そう感じる人は多かったようです。
完全に間違ってるわけでは無いようですが何度聞いても違和感は残ります。王家というとエジプトのスフィンクスが連想されますので。
白河法皇がえらく迫力ある人物に表現されてて、これが教科書で読んだ院政かという感じですが、その前は藤原道長や頼通がそのポジションで権勢を振るってたわけですので、天皇家だけに東国が反発したわけではなく、奈良時代から続く藤原氏を中心とした朝廷の長い長い理不尽な増税や強引な権力の行使があったというところもポイントだと思います。

単なるヒーロー物ではなくて、時代の背景も含めて描こうという意識も感じますし、映像のチャレンジもやってる。
視聴率は悪かったようですが、期待できるスタートだと思います。

平清盛

いよいよ明日から大河ドラマ「平清盛」が始まります。
厳島神社や音戸の瀬戸、瀬戸内の島々にも何かと縁があるので、かなり楽しみにしています。
「ちりとてちん」の脚本家が脚本を書いたようですので、安心はできますが、ここのところの大河は、原作なしでいきなり脚本家が脚本を書くケースは、ハズレが多いのでちょっと心配しています。

唐の時代は朝廷同士の貿易が中心でしたが、大陸では唐が倒れたのちに宋が成立し、特に南部沿岸地方の民間商人が貿易に乗り出した時代。
その経済力を取り込んで国を改革しようとした平清盛のスケールの大きさをいかに描くのか?期待したいです。
特に、近年もグローバルな経済の動きに対して、乗っかるのか?それとも否定して閉ざすのか?議論が激しく起こってる状況ですので、興味深い視点が提示されてたら面白いと思います。

しかし平清盛といえば、日本の歴史上、悪玉として位置づけられています。
巨大な政争に負けた側のトップなので仕方が無いのですが、、、
同じような立場に、蘇我入鹿がいます。
日本史の授業では、中大兄皇子達に暗殺された悪玉という扱いですが、実は大化の改新と言われた数々の改革の多くは蘇我氏が着手していたという説もあります。
蘇我氏を倒した中大兄皇子は、滅亡した百済救済に大軍を出兵し、惨敗した後に天智天皇となって近江に都を遷都します。
この子孫が桓武天皇となって京に遷都するのですが、、、この桓武天皇が桓武平氏のルーツとなりますから、平清盛の先祖。因縁ある関係と言えます。

西の悪玉が平清盛なら、東の悪玉は平将門。こちらも同じく桓武平氏です。
国を新しくしようとして、力尽きた英雄が悪玉として今も土地に伝説を残している。
関東も平将門なくしては語れない歴史の重さがあると思います。
大河ドラマは、一年かけて歴史と文化の蓄積を感じるご当地イベントですから、毛利元就以来の広島が舞台なのでしっかり広島や瀬戸内海の歴史や文化を楽しむ2012年としたい。