137億年の物語 宇宙が始まってから今日までの全歴史

[amazon_image id=”416374200X” link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]137億年の物語 宇宙が始まってから今日までの全歴史[/amazon_image]

寝る前に少しずつ読んでいます。
もしも生涯に本を一冊書くことができるなら、
(もちろんその技術も能力もあるという前提ですが)
とすると、こういう本を書きたかった・・・
という本。

中学生でも読めるような判りやすさで、適切な図やマップも多く、単なるあらすじをなぞっただけでなく、具体的な話や内容で、137億年の地球の歴史を記述しています。
137億年を24時間に置き換えて、その時代が宇宙誕生を0時としたときに、その時代は何時なのか?というスタイルで、時間軸を表現していますから、更に解りやすくなっています。
今から何億年前・・・では、イメージが湧きにくかったので。

しかし億年というオーダーでは地球は想像を絶する様な動きをします。
地球の生命の9割が絶滅するような隕石の衝突はありますし、大陸がひとつにくっついたり、また離れたり。
地球が灼熱だったり、凍りついたり。
ある哺乳類の一つの種だけが絶滅の危機を生き残ったお陰で、人類を含む哺乳類の全盛期を今迎えていたり・・・

今この瞬間、一日、そして一人ひとりとの出会いをより大切にしようと
改めて思います。
自分が生きてる地球やその時代が長く、大きいからこそ、そこに立ち会ってる意味の重さを感じます。

チンパンジーはなぜヒトにならなかったのか

[amazon_image id=”4062161737″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]チンパンジーはなぜヒトにならなかったのか 99パーセント遺伝子が一致するのに似ても似つかぬ兄弟[/amazon_image]

タイトルが気になったので読んでみました。
ジャーナリストの立場で、様々なチンパンジーの研究の場面に足を運び、かなりしっかり取材して書かれています。豊富で質の高い内容となっています。
99%の遺伝子が人類と共通しているチンパンジーが、どこが共通してて、どこが違うのか?
そしてその意味を知ることができます。
チンパンジーを通して人を知ることができる。
そして類人猿が人類に進化した謎も少しだけ知ることができます。

面白かった豆知識。
チンパンジーはまるっきり泳げない。人類の体脂肪は水泳に適してる。
人類は体毛がないことで、長距離走が可能。毛皮に包まれてる哺乳類は、短距離は走れるが、体温が上がったら、体温を下げる仕組みが貧弱なため、すぐバテる。
などなど。

まだまだ謎の多い我々人類ですが、少しずつ解き明かされて行ってるということは解りました。

安曇族

[amazon_image id=”4947697423″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]安曇族と住吉の神[/amazon_image]

日本には、古くから海の民が多くいて、様々なグループを作っていました。
広島西部にゆかりあるのは、宗像系で、厳島神社やうちの近くの草津八幡などはその代表的な神社となっています。
他に有名なものは安曇族で、魏志倭人伝には当時の日本人の風俗として安曇族を描いていると言われています。
上半身裸で刺青が入っている風俗は、古くは高倉健さんの映画、現代はヒップホップ系など様々ありますが、これも安曇族の風俗を形を変えつつも今に伝えていると言えるでしょう。

縄文時代から日本の海の民として仕切ってきた安曇族と、比較的新しい住吉系の関連がこの本の主なテーマとなっています。
結論を言うと、海を渡る航海技術を持った安曇族、港湾整備をする住吉がセットで日本各地に政治的に配置された・・・ということのようです。
広島では中区住吉町に住吉神社がありますが、江戸時代の創建ですのでちょっと時代はずれます。

後半では、信州安曇について書かれています。
全国に、安曇にゆかりのある地名(阿曇・安曇・厚見、渥見、熱海、泉など)がかなり残っています。いずれも安曇族の定住地のようです。
消費増税大臣だった安住さんも、石巻市牡鹿半島出身なので、先祖は安曇族かもしれませんね。
沿岸部の漁業好適地に安曇族が住んでたというのはよく理解は出来るのですが、信州安曇野に海洋民族の安曇族が住み着く・・というのも?だったのです。
ここでテーマとなったのは、天武天皇が複数の都を造営しようとしたときの、都の予定地の一つが信州安曇だったという話です。
難波や奈良盆地、せいぜい琵琶湖沿岸から都は動いていないのに、信州の山奥になぜ?
当時は、唐や新羅と全面戦争し、その余波が残っていた時代、唐の侵略に備えた非常時用の都として計画したのではないか?というのが著者の予想です。

ただ、土地として安曇地方を見るだけでなく、そのに至る水路や周辺地域を眺めてみる必要があります。
信州安曇に至る水路は、日本海から糸魚川をさかのぼることになります。安曇の更に上流には諏訪があります。
糸魚川といえば当時貴重な宝石だった翡翠の産地。
ヤマトに政権を譲った出雲が逃げ込んだのは、糸魚川経由で諏訪へ。
ですから、当時の安曇というと、日本海沿岸の政治権力が及ぶ内陸の要地だったと言えるとおもいます。
瀬戸内海にむかって開いている難波や奈良。琵琶湖を通じて日本海に開いている大津。
信州安曇&諏訪は、糸魚川を通じて日本海へ。天竜川を通じて太平洋と繋がっています。天竜川の途中から豊川に変わるとその先には渥美半島があります。
日本海と太平洋を水路で結ぶ中心地が安曇/諏訪と言えます。
そこに都を造るというのは、単に防衛上の観点ではなく、日本の東側の国土を開発する拠点という内政上の目的があったのではないかと思えるのですがいかがでしょう。
天武政権を作る上で強力な支援をしたのがこのあたりの東国勢力だったというのも見逃せないポイントです。

人類はなぜ短期間で進化できたのか

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進化については、わかったような、わかってないような状態が長く続いていました。
ダーウィンの進化論は相当無理があるのに、一向に否定されるわけでもなく、もちろん旧約聖書や各種神話をまるごと信じてる人もほとんどいない。
遺伝子がランダムに変わって、その中から環境に能力が適合したものだけが選ばれて残っていく・・・というのはモデルとしてはわかるのですが、実体とは遠いという話は以前からありました。
例えば、アフリカの砂漠に住むあるらくだは、生まれた時から座りダコがあるそうです。
ダーウィンの説であるなら、同じ種の中で座りダコがあるラクダと、座りダコがないラクダが同時期に発生して、座りダコがないラクダだけが絶滅し、座りダコがあるラクダだけが、それがある故に現在まで生存している・・という話になるのです。

かつて、フランスにラマルクという進化論を提示した科学者がいたのですが、評価を得ること無く亡くなったそうです。
彼が提唱したのは、現在生きている者の活動が、遺伝子を通じて次の世代に伝わるという説で、それが合理的であるという話がこの本の前段部分です。
特に人類の進化はとんでもないスピードらしく、ランダム&自然淘汰ではとても計算が合わないというところもあるようですね。
逆に言うと、持ってる能力をしっかり使うと、それが未来の人類の進化を促すということ。僕はもう手遅れなので、若い世代はしっかり頑張ってほしいものです。

中段以降は、世界の文化や歴史、思想などの流れを簡潔に整理したもので、楽しく読める上に内容も興味深い。
新書なのでささっと読める良書でした。