いのししのもも肉

知人にいのししの肉を大量に頂きました。恐らくもも肉でしょう。
猟師さんが撃った野生のもののようです。
いのししといえば、僕が設計の修行一年生の時、棟梁が猟師を趣味というか、そちらを人生の最優先事項として働く人でした。
自宅で一度すき焼きをごちそうになった後に、狩猟の本拠地である実家におじゃましてちょっとしたパーティーもしました。
その村は当時、本州で一番人口の少ない村で、平家の落武者伝説がある上に、花祭りという古くから伝わる祭りも残っている豊根村というところでした。
築200年の大きな農家の囲炉裏で猟師の自慢話を散々聞いて、(内緒で猟銃も撃たせてもらって)、それはそれは楽しい一日でした。
海の見えるところで育った僕としては、鉄砲で獣を撃つということを楽しみとする人に会うのははじめてのことでしたし、そこの生活に足を踏み入れることもはじめてのこと。
日本の生活文化の奥深さを体験したのです。

今回の肉の件。
とりあえず1/3ほど解凍して、いろいろチャレンジすることにしました。
先ずは焼肉。
堅い。匂いがやはり気になる。
次に醤油と酒と砂糖で煮込む。
血が滴っていたので、水から茹でてアクがわっと出てきたらザルにあけて、その後煮込む。赤唐辛子とにんにくを入れたら、まことに美味しくなりました。
今日はカレー。
下ゆでしたら、そうはいっても肉の旨味が出て行ってると思うので、ザルにあけて洗った後、赤ワインに漬け込む。
そして野菜と炒めて圧力鍋で煮込む。そしてルーを投入。臭みもなく、硬くもなく美味しくなりました。

野生の肉であるということ以上に、肉の中の毛細管に血が残ってるというところが、臭いと敬遠される理由なのでしょう。
豚や牛など普通の肉は、心臓が動いてる状態で血抜きをするそうです。心臓のポンプの力で血を絞り出す仕組みのようです。
猟の場合は、恐らく確実に仕留めてからさばくことになると思うので、完全には血は抜けないのでしょう。
それで、下ゆでの工程を入れることで、かなり食べやすくなったということだと思います。

海が見えるところで育っていながら釣りもほとんどやらずに育ってきたので、食材として直接命をいただく経験はほとんどないのですが、今回は試行錯誤の過程で実験的に料理の研究ができるということとあわせて、野生の命をいただくということが経験できたので非常にありがたい。
野菜も含めてですが、なかなか命をいただくという感覚は日頃持てないので。

安全な食品

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安部司さんの「安全な食品」の見分け方 を読んでみました。
安倍さんは、もともと、食品添加物を操るやり手営業マンでしたが、家族が自分が関わったミートボールを嬉しそうに食べてるのを見て、改心し、その危険性を訴えることにしたそうです。
もともと業界の人だったので、知識や技術に詳しく、同時に解りやすく解説しているので非常にわかりやすい内容でした。

・食品を買うときは原材料欄をチェックする。家庭にない原材料は要注意。
・激安の商品と高い商品を比較すると、安さの原因を理解しやすくなる。→安いものには訳がある。
・無理につくられた食品は、長期保存やお手軽調理を目的とするものが多い。→無理な長期保存やお手軽でない食生活を送ればいい。

この本は食品添加物だけをテーマとしていますが、近年は遺伝子組み換え作物も身近に迫ってきているようです。
遺伝子組み換え食品は下記のレポートに完結にまとめてあります。

遺伝子組換え作物をめぐる状況

遺伝子組み換えの主な農作物は、とうもろこしや大豆(二品目で8割)です。

大豆は全栽培量の77%が遺伝子組み換え、とうもろこしは26%。遺伝子組み換えでない大豆の調達はかなり苦労してるような状況のようです。

・醤油は、信頼出来る地元企業のものを選びたい。(醤油のように農作物の原型が残らないものは表示義務はない)
・納豆は高くても国産大豆を使用してるものを選びたい。
・とうもろこし(コーン)を使ってるものは無理に食べない。
・毎日使う小麦粉(強力粉)は国産。

高度成長期以降、コストや利便性を優先する社会が、食品生産や流通を大きく変えてきました。
安全安心な食生活を送るためには、不便で手間がかかる昔の食生活に極力近づけることが基本的な姿勢だと思います。

人間と数千年、数万年のお付き合いのある有害物質は、それを排除する機能を人間が獲得していますが、数年、数十年、数百年レベルでは、まだ排除機能ができていないようです。
煙草や砂糖(ショ糖)への耐性ができるのもあと数千年かかるそうです。

小豆島クルージング

お盆休みに、友人のヨットで小豆島までクルージングに行って来ました。
往きは夕方6時半に出発し、夜間航海で約16時間で小豆島に到着。
小豆島ではレンタカーを借りて島を思いっきり廻ってみました。
池田港から土庄を皮切りに、時計回りに島を一周。
翌日も午前中に山の中の農村めぐり。
津々浦々という言葉の通り、大きな島にたくさんの魅力的な風景や集落がありました。
割烹料理屋が多い土庄や、醤油屋や二十四の瞳で有名な草壁は観光地として開発されていますが、島の北側は人の手の入っていないビーチや絶壁もあり、ゆっくりテントでも持って過ごしてみたい魅力を感じました。
地元オリーブ100%のオリーブオイルを探してみたのですが見つからず。小洒落たオリーブグッズの店は幾つかできていましたが、スペイン産を使ってるようで、生産量と観光的消費量のバランスが悪いのか?コストの問題なのか?
人件費の高い日本でスペインやギリシャと勝負するのはやはり無理なのか?色々考えさせられました。
山村は美しく維持されています。村歌舞伎の舞台も二棟綺麗に残っています。

その日のうちに瀬戸大橋の足元の与島に移動一泊。停泊料500円。
フィッシャーマンズワーフは廃墟化。泡盛飲み過ぎてダウン。深夜に雷豪雨。

4時発で尾道へ。
泡盛の余韻が払拭された午後に、銭湯&街歩き。
来るたびに観光の魅力が増してる街となっています。

翌日4時発で広島へ。

フランス製の素晴らしいヨットと仲間と素晴らしい時間を過ごせました。
地中海とバカンスの風習が、こうした魅力的な休暇をすごすことができる道具を生み出すということを実感。
元々盆と正月しか休まなかった日本人は真似することが難しいと思いますが、心意気は学ぶことができます。
地中海に負けないクルージングポイントである瀬戸内海は、数々の魅力はあれど、それを活かす環境整備が乏しいと思います。
港では多くのヨットと出会いましたが、女性が載ってる船は2艇のみ。お金持ちの愛人風とアグレッシブな西洋人女性だけ。
海からアクセスできて、女性が楽しめるクオリティのレストランや温泉ができてくると、家族や普通のカップルの利用も増えてくると思うのですが。

道はアスファルト道路のみにあらず。
原点である海の道から大地を眺めることで、文化の質は確実にアップすると思います。

宮本常一 歳時習俗事典

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宮本常一の「歳時習俗事典」を読んでみました。
連載されたのが昭和30年代なので、その当時の地方の習俗は殆ど残ってないんじゃないかとも思えます。
かつては、日常生活や主要な季節に、豊かなイベントがあり、特に正月やお盆、農業に関わるものが中心でした。
今残っている僅かな習俗も、そのルーツを振り返って、大切に行うことが、豊かな文化を支えることに繋がると思います。