大陸封鎖令

19世紀の初旬、ナポレオンは英国と対抗するために、欧州諸国に英国との貿易を禁止し、経済的に封鎖しようとしました。
今回の英国のEU離脱と主人公は逆ですが、似たような動きです。
ナポレオンはフランス革命が生み出した徒花で、そのグローバリズムの拡張とそれに対抗する英国という図式は非常に近い。
トラファルガーの戦いで惨敗し、英国上陸を諦めたナポレオンは、アウステルリッツでロシア・オーストリアを破る。
軍事力で勝てないナポレオンは、経済封鎖で英国を追い詰めようとしたのです。
英国は当然経済的に困窮しますが、同時に大陸の国も困窮。
結局、長い下り坂に陥っていきます。

今後の二年間の交渉に注目です。

le décret de Berlin

人口減少社会の処方箋

増田寛也さんがぶちあげた人口減少の結果、地方の自治体が消滅するという試算について、それに反論する本はいくつかでています。
その多くは、メンタル中心のもので、「故郷を愛する気持ちがあるかぎり過疎地は不滅です」的なもの。
しかし、「田園回帰1%戦略」はある程度戦略と呼べるようなものが提示されている。
島根県の人の本なので、広島の住宅地や島根の自治体の具体的なケースで論を組み立てているので、近郊の人にとっては大変身に染みてくる内容です。

戦後の日本は公序良俗のために、個人の財産権を制限するという発想は封じられています。
いくらいい企画であっても、不動産や、住民の移動などに判がもらえなければ自然死するまで放置されるという状況。
過疎地の未来のために、一歩でも前に進めることができるのか?と悩む人にとっては有益な本です。

全論点 人口急減と自治体消滅

田園回帰1%戦略: 地元に人と仕事を取り戻す (シリーズ田園回帰)

東方之星

長江でまた大きな海難事故が起こってしまいました。
先日の韓国セウォル号の事故と同じく、船体への無理な増築や、航行上のミスも重なったことが原因と報道されています。
セウォル号では、航海士の指示を操舵手が誤って判断したことが事故の引き金となっていましたが、東方之星は悪天候での無理な航行が引き金となったようです。
いずれも、経営上の理由で現場に無理を押し付けたことが重大な原因ですが、日本でかつて問題となった姉歯耐震偽装事件と構造は同じと言っていいでしょう。
ひとりでも多くの生存者が救出されることを祈っていますが、他の業種も含めて再発を防止するための努力も行ってほしいものです。

若いころ、上海から重慶まで東方之星よりもひとまわりほど小さい船で長江をさかのぼったことが有ります。
東方之星が就航する2年ほど前。
7泊8日の間、ただただ川を眺める旅でした。
下流は川幅も広く、ゆったりとした航海ができますが、重慶に近づくと川幅も狭く、川も湾曲しています。
音戸海峡のようなカーブがいくつもありました。
あんなトップヘヴィな増築船でよくもこれまで無事に航行してたなと思います。

ただ、中国人にとっては、大陸の大きさを優雅に感じることができる上に、三国志にゆかりのスポットもある。
僕達が思ってる以上に愛されてるルートです。
そんな場所でこんな事故が起こるとは・・・

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今年に入って、、、

今年に入ってから、人の命に関わる厄介な事件が非常に多いです。
日本だけでなく世界中で。
僕が物心ついた時には、ベトナム戦争も大学紛争も一段落していましたので、その時代の事件5年分がこの一月半に起こった気がします。

ふと、尊敬する真宗のお坊さんの話を思い出しました。
「NYにある911テロの慰霊碑に刻まれた名前を見たが、被害者の名前はあったが加害者の名前が無かった。 もしも、加害者の名前をもこうした慰霊碑に刻むことができることができる世の中になれば、、、」

それは、罪なく失われた人の命と同じくらい、罪ある人の命も尊いという意味なのでしょう。
悲劇の被害者を想って涙すると同時に、罪の自覚すら無い凶悪な加害者の死に涙できるのか?
僕の想像を超える世界です。
もちろん人の命にかぎらず、地球上、全宇宙の物事の成り立ちや、起こる事象すべて尊いのでしょう。尊いはずです。

正しい/間違ってる 良い/悪い 好き/嫌い 合理的/非合理的 ・・・
様々な相対的な価値観や論理の中で僕達の日常生活や社会は営まれていますが、生命の尊さやそれに類する存在はそうした人間のつくりだした社会的な価値観よりもはるかに上のレイヤーに存在しているのかもしれません。

そうした尊さをイメージすることは僕の能力をはるかに超えますが、少なくとも日々向き合う対象を尊いと思う意識は持っていたい。