防災について考えてみる その4

広島県は9月に、「広島県地震被害想定調査報告書(H19.3)」と「広島県津波浸水予測図(H17.3)」の見直しをして、新たに被害想定を発表しました。

広島県地震被害想定調査検討委員会

広島県地震被害想定結果の概要 (PDFファイル)(296KB)

内閣府  南海トラフ巨大地震の被害想定

従来は広島に一番大きな被害を与える可能性が高いのは、五日市活断層の地震だったのですが、この度の見直しで南海地震になったようです。
南海地震では、揺れは震度5強〜6弱。津波によって沿岸部に広範囲に影響があり、人的被害も津波によるものが多いとの結果となりました。
広島県全体で7万棟が液状化や津波で全壊、死者14000人弱、避難所生活者は39万人(1ヶ月後は14万人)という予想。県と市の備蓄は50万食程度なので、乾パンが1〜2食程度口に入るかどうか?と言う状況。ライフラインはもちろん鉄道も道路も高速道路も崩壊しますから、1ヶ月は大混乱という状況でしょう。もちろん太平洋に面する県はさらに厳しい予想になってると思います。
ライフラインの復旧までにかかる時間は、、、上水道断水1ヶ月、下水道、停電、固定電話不通は数日間、都市ガス2週間。
あまりにも想定が強烈なので、これを前提とした対策をすべきかどうか躊躇しますが、情報としては頭に入れておくべきだと思います。

地震発生から3時間後辺りから津波が到達し、MAXは4時間後。12時間後になってもまだ繰り返し押し寄せるようです。
南海地震の際に、高台に避難する時は幸い時間の猶予はあるので、3回分の食事、防寒や寝袋等の設備等を持ちだしておくことが必要となるかもしれません。もちろんリアルタイムに情報を得るためのラジオ、夜間に移動することもありえるのでランタンやヘッドライト、ロープなども必要になるでしょう。

被災地にふるさと納税しました。

南三陸町に「ふるさと納税」しました。
ふるさと納税というと、住民税を払う自治体を自ら選択して納税する・・ということかと思っていましたが、制度的には若干違うようです。
ある自治体に寄付をすると、一定額を差し引いた金額を所得税と住民税から控除するという仕組みです。寄付金控除制度をアレンジした制度となっています。

南三陸町ふるさと納税制度について

手順は、、、

1)寄附申込書を印刷し、記入したものを寄付をする自治体にFAXします。

2)その自治体から郵便振替用紙が郵送されてきます。

3)郵便局で郵便振替します。

4)自治体から受領書が郵送されてきます。

5)受領書を年末調整又は確定申告で税を控除する手続きをします。

6)翌年、所得税や住民税が安くなります。 1)から繰り返し。

寄付をする人の僅かな負担で、本当に困ってる自治体に自由に使えるお金を贈ることができます。
特に高額納税者の人ほど効果は大きいので、できるだけ多くの人が継続的に続けることが出来れば大きな力になると思います。

津波を警告する放送を最後まで続けた女性職員がいた町なので南三陸町を納税先にしました。

春に自治体や日赤を通じて義援金を送った方も、寄付金控除の手続きをして、控除された金額を又寄付をすると、一粒で二度美味しい善意となります。

2011年を12冊で振り返ってみます。

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1月
李忠成のシュートが炸裂したアジアカップから2011年が始まりました。
人を活かし文化を愛する名将が率いるチームの活躍に期待したいです。

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2月
モノやサービスを、シェアによって流通させる仕組みが、通信環境の発達で新しい広がりを生みつつあります。
通常の商売では成り立たないことでも、シェアであれば成り立つものはたくさんあります。
生活を豊かにし、文化の質を向上させる社会のあり方に大きなヒントを得ることができます。

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3月
震災以降、様々なニュースで原子力発電関連の情報が流れてきましたが、専門用語がわかりにくい上に情報そのものが混乱していたために何がどうおこっているのか?何がどう危険なのか?非常にわかりにくかった。
原発に関する基礎的な情報をわかり易く書いた本。

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4月
原発とその事故による被害等の基礎知識。
社会に対立する大きな派閥がある場合、両者の意見に耳をかたむけることは最初の一歩です。
長らく原発に反対していた人の情報や意見をまとめた本です。

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5月
原発が次々止まり、節電が長期的な課題になって来ました。
エネルギーと生活をどうするのか?
鈴木さんは言語学の大家で、学生時代教科書にも使わせてもらった面白い人。

[amazon_image id=”4022733969″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]ウェブ進化 最終形 「HTML5」が世界を変える (朝日新書)[/amazon_image]
6月
スマートフォンやタブレットによって、ウェブを持ち歩けるようになってくると、HTML5の重要性が増していきます。
もうすぐ手が届く環境のために心の準備をする本。

[amazon_image id=”4864100985″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]日本が融けてゆく[/amazon_image]
7月
政府の中から国を変えようとして、経産省から追い出された古賀さん。
日本の病の重さを身をもって教えてくれました。

[amazon_image id=”4344982290″ link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]内部被曝の真実[/amazon_image]
8月
国会の委員会で魂のこもったメッセージを発した児玉教授。
いろいろな寄せ集めの本ですが、あのときあのタイミングで読むための本です。

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9月
低線量の放射線で、僕達の健康はどれだけのリスクがあるのか?
原子力の専門家は多くテレビで見かけますが、低線量放射線によるリスクの専門家はテレビでは見ることができませんでした。
この本は、その専門家と、抜群の質問力でわかりやすい情報を引き出す辛抱さんの本です。
気になる方は一家に一冊常備しておくと安心。

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10月
ジョブズ死す。
地球上から一人の英雄がいなくなってしまった。

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11月
防衛大臣や沖縄防衛局の失言が続き、普天間基地移転が微妙な空気になって来ました。
米軍が普天間にこだわる理由がこの本に書いています。

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12月
柳宗理さんがお亡くなりになりました。
心からご冥福をお祈りします。
ほんとうにありがとうございました。

コレクティブなメッシ

2011年12月18日は、ある一つのことを世界が認めた日になったと思います。
FCバルセロナは団体で争う球技の一つの理想を実現しているということを。

その中継や報道に違和感を持った人が多いようです。とにかく「メッシVSネイマール」を連呼しすぎ。
余計な音声なく見た人は、もちろんメッシ個人のプレーに魅了されたと思いますが、もっと重要なことに心を奪われたはずです。
11人の選手たちが、メンバーが変わっても同じクオリティのプレーができたこと。
言葉を交わす必要もなく、美しい白鳥の群れのように全体が一つの意識で行動し、結果を出すということ。
個人が全体と調和し、全体が個人の主張を活かす。理想的な個人と組織のあり方を目の当たりにしたという感じです。
メッシの代わりに他の選手が入ったとしてもその関係性にはなんら変化はなかったと思います。
決勝ではおそらく一番ボールを扱った数が多いシャビも、準決勝では温存されていたために、その役割をイニエスタが果たしていましたが、十分な活躍を見せていたと思います。結果もどちらも4-0。
恐らく、現代のサッカーで、かつてのマラドーナや釜本のように圧倒的な存在感の個人が組織を率いるという形が主流を占めるということは無いのではないかと思います。
圧倒的な個人の力を持った選手も、組織全体のために守備や連携を怠るようでは勝てない。そういう時代であるということを改めて示したと思います。

21世紀はいかなる時代か?あと90年近く残ってる今世紀を現時点で予測することは愚かなことだとは思います。
1911年に20世紀を予測することがいかに難しかったかを考えればよくわかります。
しかし、前世紀とここ10年余りの時間を比較してみると大きな違いが見えてきます。
20世紀が始まったのは、日露戦争と第一次大戦の間の時期。機械の力が社会全体に行き渡り、人間の肉体を凌駕し始めた時代です。
坂の上の雲でも描かれた満洲の要塞や平原での機械と肉体のぶつかり合いは、その10年後の欧州でその100倍の規模で行われます。第二次大戦は更にその5倍。
機械や科学と向き合った人間が、社会を組織化し、巨大化すると同時に、人間個人を育んできた時代だと思います。
スポーツや芸術、文学の世界でも、政治や経済の世界でも、巨大な個人が組織を作り、それを牽引することで大きな成果を生み出してきました。ヒーローは個人であり、個人が産み出した組織だったわけです。
しかし現在はどうでしょう。
今年の国民栄誉賞は澤穂希ではなくなでしこジャパン。今年3月に世界が英雄として讃えたのはFukushima50でした。
個人と個人をつなぐ通信の技術が向上すると同時に、前世紀の遺物であるマスメディアの必要性は限定的になっています。
前世紀はピラミッド構造で組織をつくり、上から下に下ろすか、下から上に上げるしか上方の流通がなかったのが、現在は個と個を縦横無尽につなぐ経路が次第に太くなってきています。
国-県-市-地域-家族-個人という社会の構造も、上下の関係ではなく、同じ空間上で距離感もなく共存するそんな認識にあると思います。

そうした組織と個人のあり方は今後はさらに流動化し、新しい着地点をみんなで探していくことになると思います。
行政機構だけでなく、企業や町内会、家族や友人関係なども、過去数十年でまるっきり変わったように、今後数十年でまるっきり変わると思います。
どう変わるのか?
すでにそのモデルを成功例で示している組織があります。それがFCバルセロナだと思うのです。
一にして全、全にして一。
高いレベルで個人と組織が連動するコレクティブな組織が結果を出した。未来の僕達のコミュニティのあり方を示してくれる素晴らしい一夜だったと思います。
とあえずFCバルサのような町内会を目指したい。