福音館の松居直さん

僕が生まれた時、うちには福音館の絵本が沢山ありました。離島の中学校の教師だった父が隣の島の御手洗の本屋さんに、兄のために福音館の絵本を何冊か注文したつもりが、福音館の当時の絵本全部が届いたようで、ダンボール何箱分もの絵本があったのです。父の間違いなのか、本屋さんの間違いなのかは分かりませんが、幸運に恵まれたと思っています。

お陰で、僕は福音館の絵本が血となり肉となって今に至っています。どの本も素晴らしくて、読み返すことがあっても、どれもいつも新鮮で。今ほど絵本が豊富にあった時代ではなかったのに、本屋のない離島の教員住宅の一室が子どもにとって天国のような場所でした。

福音館でそれらを作ったひとりが松居直さんだと知りました。月刊誌 母の友も、母が購読していたので、単に絵本やお話だけではなく、世の中のことを知る機会も子供の頃から身につける事ができました。連載されていた「銀のほのおの国」を少し大きくなって読むようにもなったので、何度も何度も引っ張り出して読んでいました。

おおきなかぶ、ぐりとぐら、じぷた、がらがらどん、てぶくろ、どろんこハリー、ラチとらいおん、しろいうさぎとくろいうさぎ、ブレーメンのおんがくたい、アンディとらいおん、マーシャとくま、、、

松居さんに心から感謝し、ご冥福をお祈りします。

藤原新也

先月福岡の喫茶店にあったチラシで小倉の藤原新也展を知って、写真展を観る前に藤原新也が過ごした門司に行きたいと思った。港町には可能であれば船でアプローチしたい。
朝早くから観光客で賑わう下関の唐戸から船で門司に上陸。洋館の残るエリアから離れると閑散とした商店街が広がり、隙間から山裾に店や家屋が続いている。

藤原新也の生家跡は特に調べる事なく、彼が暮らした痕跡の発見もそれほど期待せず、ただ門司の今の街を見て回ろうと思ってた。

通りの隙間から綺麗な石垣の上に三階建の木造料亭建築が見える。食事は済ましてたので通り過ぎようとすると、階段から女性グループが降りてきた。見学できるなら、、、と思って入ってみた。

どちらから?と親切なスタッフ。

広島からですが、藤原新也展を観る前に門司に来ましたと伝えると、生家はここの隣なんです。と。え!

この料亭建築「三宜楼」は、取り壊しの危機も乗り越えて、地元の人たちが守って管理をしてるとのこと。いい建築が残るのは、建築を大切に思って行動する人たちがいてこそ。

生家は基礎だけ残ってる状態で思ったより小さく感じる。生家の旅館が破産した翌年に門司市は小倉などと合併して北九州市となっている。昭和35年、36年のこと。町は大きな曲がり角だったのだろう。

単一の役割で急速に発展した都市は、その条件が失われると弱い。しかし、かつての繁栄は建築にその痕跡が残る。そうした建築を大切にする事は町の歴史や文化を大切にする事であり、地域のコミュニティや尊厳を大切にすることでもある。門司の人たちと建築の気持ちのよい関係を嬉しく感じる。隣の旅館も基礎だけでなく、建物が残っていれば、、、と思う。

藤原新也展は小倉城の市立美術館分館と図書館併設の文学館で開催。インド放浪、チベット放浪、逍遥游記、全東洋街道、、、、東北の震災、香港民主化運動、緊急事態宣言、小保方さん、AKB、寂聴さん、沖ノ島、、

二十歳の頃に読んだ作品やその後のもの、知らなかった作品まで、藤原新也が一貫して表現したものがよくわかる企画で、人や命を問いかける作品が心に突き刺さったし、その原点が門司の街や生活にあったんだろうなと感じられました。寂聴さんやお父さんとのエピソードも藤原新也らしくて。

二十歳過ぎて藤原新也を知って、写真と言葉から、人とは何か?命とは?という問いかけとメッセージはその後の人生の骨格の一部を間違いなく構成していると思う。
大学を卒業して少し時間が取れたので、インドに行きたいと思ったが予算が足りなさそう。それで中国ならインドとは違うエネルギーを感じられるのではないかと思って旅に出た。
しかし、中国だけではどうやら予算が余ること、確かに人のエネルギーは強いものの、共産主義的な社会の欺瞞性が気になって、シルクロードをそのまま進むことにした。「全東洋街道」と逆に中国からギリシャまで。カメラも持たず、予定になかった知らない国を旅することで、多くのことを学ぶことができた。

藤原新也は今も変わらず表現をし続けていることが確認できて、私たちに人や命について考えるきっかけを与えてくれていることが嬉しい。

さいころで鳥獣戯画

子供の頃、ドリトル先生が壁に貼った世界地図にダーツを投げて決める旅の行き先を決めるのを憧れてたけど、実現の機会はないままでした。しかし先日、JR西日本がサイコロきっぷというチケットを販売してたので、早速初日にサイコロを振ってみました。
博多、松江、姫路、金沢の中から1カ所が決まるというゲーム感覚のチケットでした。
金沢は確率は低いがまた行きたいな。とか、姫路だったら城崎温泉直行しようかな。とか、松江だったら隠岐島に行くか?と思ってると、当たったのは博多。ちょうど市立美術館で鳥獣戯画展をやってたので、日帰りで行くことに。

鳥獣戯画は二度目ですが、細部までじっくり観れてとても良かったのですが、所蔵されている高山寺や、明恵上人に関わる多くの作品もうまく連動していて、現在の漫画やアニメにもつながる日本の文化の流れにも気づくことができました。
とても丁寧に多くのことが連動して企画されているいい展覧会でした。
常設展では予期せずアニシュ・カプーアに向かい合うことができて、とても大きな気づきを得ることができました。

今年のJリーグの展望

今年のJ1は残りは6節。しかしコロナとACL等の関係で、9試合残っているところもある。
昨日の28節の結果、広島が暫定首位になったが、優勝の可能性はどのくらいあるのか?気になるところ。

これまで、優勝争いするのは平均勝ち点2前後。残留争いするのは平均勝ち点1前後という傾向があった。
平均勝ち点2は、1勝1分又は2勝1敗ペース。無敗だと半分引分けても優勝できるが、負けが一つあると連勝する必要がある。という感じ。

今シーズンは圧倒的に強いところはなく、前半でも横浜が唯一の平均勝ち点2、川崎1.9、柏1.8だった。広島は前半は1.6。
後半に入ると広島の2.1がトップ。浦和2.0、横浜1.9、セレッソ1.7、川崎1.6。

優勝の可能性があるのは横浜、川崎、広島。
横浜は残り9試合、平均勝点2(年68P)には19P、平均2.1とする必要がある。直近5試合の平均勝ち点は0.2(1分4敗)。
降格争いをしてるような試合結果で勢いは落ちている。残るのは下位との試合がほとんどだが連戦もあるので、9/18までの連戦で平均2を切るようだと厳しい。
川崎は残り9試合、平均勝点2にするには22P、平均2.4とする必要がある。直近5試合の平均勝ち点は2.0。
安定して勝っているが、平均2.4は厳しそう。平均2.0とすると年間64P。このあたりがボーダーラインか。
広島は残り6試合、平均勝点2にするには18P、平均3.0とする必要がある。直近5試合の平均勝ち点は3.0。
公式戦7連勝中だが、残り6試合全勝はさすがに考えにくい。9/10に川崎との直接対決有。合計62(2負)〜64P(1負1分)か。直接対決に勝って4勝1分1負以上だと優勝争いに残れるか。

横浜が優勝するには、もう一度勢いを取り戻す必要がある。
川崎は安定感を取り戻しているので可能性は高い。
広島は横浜が今のままで、川崎との直接対決を制し、かつ勢いが落ちることを待つのみ。

名古屋は9/14川崎、9/17広島、10/1横浜と。
札幌は9/18横浜、10/1川崎、10/29広島と。
神戸は10/8広島、10/29川崎、11/5横浜と。
これらの戦いぶりも影響が出てくると思われます。