残り9試合

Jリーグも全34試合のうち25試合およそ3/4を消化し、残り9試合となりました。
広島は2度目の首位に位置しています。
新聞やニュースでは、順位中心に報道しているのですが、勝ち点の積み上げで順位が変わるので、勝ち点が密集しているケースもあれば、引き離されているケースもありますし、勢いを知るにも順位だけでは非常にわかりにくくなっています。

上位5チームの現時点までの25節を5節ずつの勝ち点をカウントしてみました。
ここまでの平均勝ち点は広島が1.88です。
上位5チームは、最初の5節はどこも平均勝ち点2以上を獲得しています。
5節で勝ち点10といえば、3勝1分1敗ペースです。仙台は13ですから4勝1分という素晴らしいスタートでした。
その後、仙台は13→10→8→7→7と減速していきます。5節で勝ち点7と言えば、2勝1分2敗ペース。中位クラスの平均勝ち点です。
広島は、12→7→10→8→10と、大きく崩れること無く、勝ち点を重ねてきたことがわかります。
浦和磐田名古屋は、最初の5節は調子良かったですが、その後伸び悩み、21節以降調子を上げてきています。
平均勝ち点2をキープできれば、最後まで優勝争いに絡めるでしょう。6勝3敗、5勝3分1敗で18ポイントですから、6勝が目標となるでしょうね。

残り9節。期間にして2ヶ月半。調子の波がいくつもできるには十分の時間があります。
上位5チームの直近10節の勝ち点は、18、14、19、17、17。±5程度の差でしかありません。
お互いの直接対決が大きな決め手になります。
上位5チームの直接対決は浦和、名古屋は3試合、残りは2試合。ここでMAX18ポイント動きます。
特に29節の仙台×浦和戦は仙台にとっては重要な試合になりますね。

26節 名古屋×広島
29節 仙台×浦和
30節 磐田×仙台
32節 浦和×広島、磐田×名古屋
34節 浦和×名古屋

安定した強さの広島か。
スタートダッシュの仙台か
それとも後半追い上げてる他のチームか。面白くなって来ました。

 

クラブ 勝点 平均
勝点
1〜5節 6〜10節 10〜15節 15〜20節 21〜25節
1 広島 47 1.88 +12(2.4) +7(1.4) +10(2.0) +8(1.6) +10(2.0)
2 仙台 45 1.8 +13(2.6) +10(2.0) +8(1.6) +7(1.4) +7(1.4)
3 浦和 45 1.8 +10(2.0) +7(1.4) +9(1.8) +9(1.8) +10(2.0)
4 磐田 41 1.64 +11(2.2) +5(1.0) +8(1.6) +7(1.4) +10(2.0)
5 名古屋 41 1.64 +10(2.0) +5(1.0) +9(1.8) +8(1.6) +9(1.8)

コレクティブ×コレクティブ

昨日のJリーグ頂上対決:広島×仙台戦は、広島が制し首位返り咲きとなりました。
4-4-2の仙台に対して広島は3-4-2-1。
戦術もスタイルも対照的な二チームですが、首位争いするだけあって重要な共通点があります。
コレクティブであること。
攻撃も守備も高いレベルで連動性がとれています。
旧広島監督&選手が中心である3位の浦和も含めると、コレクティブであることがサッカーでは重要な要素だと言い切っていいと思います。
しかし仙台のコレクティブさと広島のコレクティブさは大きく意味が違っています。
仙台は、規律が正しく、約束事を全員が最後まで全うする強さがあります。
広島は、この選手の独創性やイマジネーションをお互い感じあって連動する強さがあります。
剛と柔。又は四角と三角、儒教と道教といった感じ。

個人技が極端に優れたブラジル人のFWがいるなら、規律を重んじる日本人がひたすら頑張ればいい結果につながります。しかし、そうしたブラジル人が日本に来ない又は、出ていってしまう時代には、果たしてそのやり方は通用するのか?
という話だと思います。
かつての強豪(いわゆるビッグクラブ)が苦戦する今シーズンに、地方のクラブが善戦している状況は、外国人の個の力≒お金の力が強さの最重要要因と言えない状況を物語っていると思います。
お金がなくても個人の能力を最大限に発揮すると同時に、連携を重視することで、日本でNo1になれるということを実現してほしいものです。

長いデフレが地方を疲弊させていますが、潜在能力を持つ地方がその強さを活かすヒントがそこにあるように思うのですがいかがでしょうか?

一つになった集団の強さ

比嘉がやってくれました。
U23のチームで、ムードメーカーだった比嘉。
新しい選手が加入すると、監督は必ず比嘉と同部屋にしていたそうです。
それまでの人生で、誰にも負けたことのないような連中が集まる代表チームなので、相性や個性の問題もあるもの。特に、2年ごとの大会のU21W杯チームの2大会チームが合流する五輪チームは、昔から融合は課題でした。
その難しい課題を解決してきた比嘉の力は誰もが認める大きなものだったようです。
とはいっても、なんてことはなく、新しい選手やややこしい選手をひたすらいじっていじっていじり倒す・・・ということだっただけですが。
その比嘉が五輪メンバーから外れた時、チームがどうなるんだろう?と先ずそっちが心配になりました。
長い期間一緒に暮らして短い間隔で試合を続けていくので、オフ・ザ・ピッチが特に重要になります。
それを失敗してしまったのがドイツW杯。

しかし、比嘉がやってくれました。
自分が参加できない五輪チームのために、いじりDVDを作成し、選手に託していたのです。

長年参加していて、出場権を獲得した五輪に参加できなかったということは、悔しかったと思います。
それを素直に表現した選手もいましたし、出場する選手にエールを送る選手もいました。
しかし、自分にできる最大の能力を活用して、選ばれなかったチームのために活動した選手は初めてじゃないでしょうか。

スペイン戦の驚異的な集中力や、驚異的ながんばりの理由はなぜなのか?
勝った時の大津の涙の理由は?
いろいろ疑問符のついた五輪初戦でしたが、これで腑に落ちました。
ここまでやってくれた比嘉に報いるためには、選ばれた選手は全力を尽くすしかないでしょう。
美しい心の持つ力を感じることができた小さなニュースでした。

コレクティブな守備

昨日、ロンドン五輪の開会式より前に始まったフットボール男子の予選リーグ第一戦がありました。
相手は優勝候補と誰もが認めるスペイン。
結果は、ご存知の通り日本が1-0で勝利しました。

このチームは、攻撃にムラがあり、OA選手を入れるまでは、守備にも課題がありました。
いい選手はいるのですが、どこか期待が薄いチームでした。
先日の、トゥーロン国際大会でも、オランダに勝ちながらも、エジプト等に負けて、予選敗退をしていました。

試合が始まった瞬間から、ボールを保持する事はあきらめて、ボールを保持する相手と、パスの出し手に対してチェックに行きます。
パスミスを誘発したり、インターセプトしたりしてボールを奪うと、数人でパス交換をしながらゴールへと向かいます。
従来、攻撃的な戦術と言えば、スペイン代表や日本代表、FCバルセロナやサンフレッチェのように、ポゼッション率を高めてショートパスをつないで相手を崩すサッカー。
守備的な戦術と言えば、一人を前線に残して自陣に引きこもってスペースを消すもの。攻撃は、ロングパス一本。
しかし、この日の日本は、決して自陣に引きこもる事無く、しかし自らがボールを保持する事はあきらめる。攻撃はロングパス一本ではなく、ショートパスをつないで相手を崩しながら・・・
という戦術でした。
攻撃的なチームが、超守備的戦術をとったというケースで、なかなか見る事ができない試合です。なぜなら、前線からチェイスすることを90分間維持する事はほぼ不可能だからです。
試合が始まった当初、途中でガス欠になって、自陣に引きこもるか、逆カウンターを食らうか・・・と心配していましたが杞憂でした。
90分間、集中力を切らさず、しっかり連動性を維持し、守備と攻撃を行いました。
後半シュートの正確さを失っていましたが、あれだけ走れば、シュートの余力は残ってなかったでしょう。セットプレー以外で点が入らなかったのは、攻撃要員を温存するという発想が無く、全員守備要員としてフルに動いたからでしょう。

これまで、スペインやFCバルサ対策がいろいろとられてきました。日本でもサンフレッチェ対策がいろいろとられてきました。
おそらく、こうした対策でもっともよくはまったのが昨日の日本代表の戦術だったと思います。
しかし、誰もができる戦術ではありません。攻撃的なチームのみができる超守備的戦術だと思います。
つまり、自陣のゴールを守る戦術ではなく、ボールを奪って攻撃するために守備をする戦術だから。

ここまで徹底した監督や選手に敬意を表したい。
しかし、もしも決勝で再びスペインとぶつかったら・・・・惨敗してもいいからガチンコでやってほしい。