林家雑記 その12
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出がけにつまらないことでKと口げんかをした朝、コーヒーを飲みに行った喫茶店の見るともなしにめくった週刊誌で、武田百合子さんの死を知る。堅くなっていた気持ちに、じわじわとその死が染み込んできた。生きていることが、わたしの知らないところで死に変わっていく。生きているうちに、生きていれば。早くしなければ、先延ばしにしていると、いつのまにか違うことになってしまっている。もはや、彼女と同じ時代を生きてはいないのだ。 |
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