土曜日に、広島市現代美術館で行われたミュジアム・カレッジ「超遠近法で解くエッシャーの秘密」に行ってきました。
講師はシナジェティックス研究所の梶川泰司さん。
エッシャーが生み出した絵画を、独自の解釈によって解き明かすことで、エッシャーが表現しようとした世界観がなんとなく感じ取れるとてもいい講義でした。
僕たちは、目によって視覚情報を切り取って、脳に送って解析することで視野の情報を知覚することができています。たまたま人間の目と脳が今のような状態なので、今のような認識ができていますが、馬や昆虫や魚は目や脳が違うので、僕たちと同じものを見てもまるっきり違う認識がされていると思います。
僕たちの目は片方ずつでは三次元の世界も二次元でしか写し取れないので、左右にずれた二つの情報から送られる情報のずれを解析することで、三次元に復元しているわけです。
つまり
【実態】三次元→【目】二次元→【脳で復元】三次元
と言うわけです。
手で触る触感はダイレクトに三次元を知覚できますが、目ではどうしても間に二次元を挟むというのがもどかしいところでもあり、面白いところでもあります。
彫刻に比べて絵画の表現の豊富さは、そういったところにあります。
建築のような巨大な三次元の物体をつくるときでも、結局ほとんどが二次元に置き換えて三次元化します。
今回のエッシャーの講義では、そうした二次元情報と三次元情報の変換のメカニズムの特徴と限界を深く探った人だったのだろうということがなんとなくわかりました。
単なるだまし絵と言われれば言えるかもしれないですが、そこのだます／だまされるのあたりは、脳の不思議さを一番わかりやすく明快に表現する手段であったということでしょう。
馬の視界はどんなにうつって脳にとどいているんでしょう
興味があります。
馬は目が両サイドにあるので、正面に二つついている人間とはかなり違うと思います。rn人間は左右の微妙な視差によって三次元化できるし、凝視するということもできます。rn逆に馬は、左右の視界が交差する範囲が狭いので、左右どちらかの目だけで見えている範囲が広いということになります。つまり平面的な視界が非常に広く凝視できないということでしょう。rn恐らく、映像の動きの時間的な変化に非常に敏感なのではないでしょうか？rn例えるとすれば、人間の耳も同じような位置にあります。薄暗いところで物音がすれば、びくっと反応しますよね。馬の目はそんな役割ではないでしょうか？rnrn犬や兎の耳は、人間の目のようにふたつが正面を向いていています。それは、音によって三次元的に空間を把握するのに役立っているように思います。rnrnいろいろな動物の目や耳の位置や形で、どのように情報を受け取るのかを考えながら、いろいろ想像するのは面白いですが、脳の中でどう処理されているのかはさっぱりイメージ湧かないです。rn同じ風景を見ている人間同士でも、他の人がどのように脳で処理してるのかわかってるようでわかっていないですし。rnrnそのわからなさが人間にとっての最大の疑問ではないでしょうか？rnだから絵を描いたり音楽を演奏したり、さまざまな表現をしていると思います。