金利の行方

住宅には通常ローンがつきものです。
特に金融の自由化や低金利政策などによって、非常にバラエティに富んだメニューが増えていると思います。
日本人が株を買う場合、値上がりしている株を買い、値下がりすると底値で売るという習性があるらしいです。農耕民族の血のせいか、ハイリスク・ハイリターンよりも横並びで安心を買いたいということだと思いますが、結局一番損をするパターンなのですが。

住宅ローンでも同様です。ローンの商品を眺めてみると、高金利時代に固定金利、低金利時代に変動金利のものが多いように思います。
現在の低金利政策は、政策的に異常に低い金利が設定されています。永久に続くことはあり得ないし、徐々に正常化させたいというのが政府(日銀?)の本音でしょう。

じゃあ今後の動向は?ということは、経済誌や週刊誌にも時々予測が出ていますが、当たらぬも八卦当たらぬも八卦という感じかと思います。皆さん利害が絡んでいますから。

ちょっと気になったので、国会の議事録の中から気配が読みとれるか調べてみました。(追記に貼り付けています)

様子を見ながら利上げのタイミングを図りたいが、まだその時期ではないということでしょう。
その時期はいつか?
景気次第でしょうね。減税にシフトしている税制を、来るべき超高齢化社会までに必要な税率に移行したいと思っているでしょうから、非常に微妙な手綱さばきが必要とされています。
来年度予算は定率減税を減らすと言っていますから来年の今頃若干影響があるでしょう。
小泉総理の総裁任期が切れた後の、H19年4月から消費税が上がると言われています。それに負けない経済の回復を達成できれば、低金利政策は終わるでしょう。そこで沈没すれば低金利政策は続くということでしょうか。

ところで住宅金融公庫が民間金融機関と提携した証券買取型のローンを出しています。35年間金利固定というフラット35というもの。これが面白いのは、従来の公庫というと、細かい仕様が決まっていて、確認申請と並行した審査が行われていました。確認申請が最低限の基準の建築基準法の審査。公庫は日本の住宅の平準的な仕様を定め、それを普及、指導させるという役割を演じてきました。
フラット35は、その審査を民間の確認申請機関だけ(つまり役所は排除)という手法を取っています。
ちょっとびっくりしました。
ついでに聞いてみたら、役所の確認申請は通常法的な期限である提出後一週間目に訂正の連絡があって、訂正しても上司と担当者の間を行ったり来たりするので10日から2週間は覚悟していました。
僕が聞いた民間の確認申請機関は3〜4日で確認が下りるそうです。
この差は非常に大きいです。
これも行政改革の一つの成果でしょう。

平成16年11月02日 参議院 財政金融委員会
○参考人(福井俊彦君) 金融政策は常にメリットの面とデメリットの面と背中合わせにそういう要因を伴っている部分がございまして、私ども政策委員会の政策決定会合で議論いたします場合にも、こうやればこういう効果があるというだけの議論ではなくて、逆にこういう御負担を国民の皆様に掛けるとか、あるいはそのほかの面、例えば市場の機能といったような面でかえってひずみをもたらすデメリットがあるとか、メリット、デメリット両方の議論を出しながら総合してよりメリットの多い政策というものを選択するように心掛けております。
 今、デメリットの面はどうか、どういうふうに認識しているかというお尋ねでございましたので、あえてこの量的緩和政策のデメリットの面を申し上げますと、やはり超低金利が非常に長く続いているということでありますので、おっしゃいましたとおり家計を中心にその預貯金の利子収入が極端に減少していると、これはやはりある意味で非常なデメリットでございます。
 我々個人が将来の生活設計を立てる場合に、別に特定水準の金利を前提にするわけではないにしても、従来の経験則から想定されるある幅の中での金利を想定しながら、やっぱり将来の家計を組んでおられるわけですから、そこを狂わしているというのは非常に大きなデメリット、それはやはり消費にも影響していることだろうというふうに思います。それからまた、その国民の財産を預かっていろいろ運用している生命保険会社とか年金などのいわゆる機関投資家、これが、金利が低い環境の中では幾ら上手に運用してもパフォーマンスが上がらないと、その運用益が上がらないという形でこれまた非常なデメリットになっているというふうに思います。
 それだけではなくて、先ほども触れましたように市場の機能の面と。ほとんど金利がゼロということは、特に短期金融市場では金利がほとんどゼロ水準に近いわけでございますので、取引が極端に減少しています。そして、市場を通ずる資金の再配分機能と、ひいては資源の再配分機能が著しく低下しているということでございますので、これも経済全体に恐らく目に見えないかなり大きなマイナスの作用をしているだろうということでございます。
 これらの作用と、しかし先ほども申し上げましたとおり、流動性の大量の供給と、しかもこれを長く、長く続けるというコミットメントの下での企業の将来設計、そして今の困難をブレークスルーしていく力の培養という点でメリットがあると。このメリットとデメリットの比較にいつも苦しみながら判断し続けているわけでありまして、したがいまして、なるべく早く経済の自律的な回復のパスへの到達、デフレからの脱却の判断に至るということがやはり望ましいんだというふうに思っています。
 しかし、これも判断が早過ぎてかえってすべての努力を水泡に帰するということがないようにしなきゃいけませんので、この苦しい判断のプロセス、いましばらく我々は続くと覚悟しているところでございます。

平成16年10月19日 衆議院 財政金融委員会

○岩國委員 おはようございます。本日は、久しぶりに予算委員会で小泉総理初め各大臣に質問させていただきたいと思っております。
(略)
 私は、今の日本の国力を弱めているのは、政府の間違った財政政策あるいは経済政策にあるんではないかと思います。端的に言えば三つの点、三つの金融に関する政策。
 まず最初に、ゼロ金利政策です。
 世界のどこに、銀行にお金を預けてそのお金に利子がもらえない国がありますか。かつてカール・マルクスが実現しようとした共産主義社会は、労働にしか価値がない、資本には価値がない、人間には給料を払うけれどもお金には給料を払わない。それを今見事に実現したのが日本です。
 どこにお金に一切給料を払わない国がありますか。このゼロ金利政策、これは、預金者が受け取るはずの利息がだれかに奪われてしまう、世界に例のない超低金利政策。白昼堂々と、この十年間に、私の計算では約四十兆円が庶民の財布から奪われているんです。この四十兆円、巨額の横領された利子が、結局は銀行の不良債権の圧縮に使われている。これが大きな目で見た場合の日本の金利の流れなんです。
 ですから、預金したい人もこのごろは銀行へお金を持っていかないでしょう。持っていく手間賃、往復のタクシー代だけ赤字になる。だから、そういうお金は結局、うっかり危ない銀行に行くと、利子どころか元金も返ってこない、自宅へ帰ることもできない、危ないからたんすの中で眠っているのが一番いい。どんどん寝たきりのお金がふえているんです。寝たきりの高齢者も困りますけれども、この寝たきりのお金が、この資本主義社会で動かないお金が、銀行へさえも行かない、寝たきりのたんす預金がどんどんふえている。
 どうしても給料の欲しいお金はどうするか。アメリカへ出稼ぎに行っているでしょう。これは谷垣大臣も御存じのとおり。人間がアメリカへ行くときにはパスポートとビザが要ります。しかし、このごろは、お金がアメリカへ行くときにはパスポートもビザも要らない、法律がそのように変わりましたから。
 そして、アメリカへ行って、日本で働くとせいぜい一年間に一%の給料、アメリカで働くと一年間に六%の給料。日本のお金がアメリカへ行くと、二カ月働いただけで日本の一年分の給料がもらえて、残り十カ月は休暇がもらえる。すばらしいというので、行ったきり。行ったきりで、お盆になっても、お正月になっても帰ってこない。出たきりマネーと寝たきりマネー。
 この出たきりと寝たきりで、日本のお金が日本の中で動かない。だから、タクシーが動かない、物が動かない、土地が動かない、サービスが動かない、仕事が動かない。日本じゅうを寝たきりにしているのは、このゼロ金利政策という、世界にも例のない愚かな政策を六年も八年も十年も続けていることだと私は思います。
 そして二番目は、自民党によるサラ金政治です。ゼロ金の次にサラ金政治。
 税金の十五年分を借金している国が世界のどこにありますか。これは、サラリーマン家庭に例えて言えば、十五年分の給料を、しかも、今は昔のように会社は絶対になくならないという時代でもないのに、なくなるかもしれない会社に勤めていて、十五年分の給料を前借りして、担保に入れて、それでサラ金からお金を借りている。このサラ金政治、紀国屋文左衛門じゃなくて前借り屋文左衛門みたいな政治をずっと続けている。このサラ金政治も日本の体力をどんどん弱めている。結局、借金の利子を払うために税金を毎年払っているようなものじゃありませんか。まさにこれは自転車操業、あるいは、家庭に例えて言えば、サラ金政治。
 そして、三番目の金、三金政治の最後の金は、この献金問題です。
 これに対する疑惑はもう各委員から出ておりますけれども、政治献金をすれば自分たちの業界の代表を国会に送り出すことができる、国会の議席をお金で買おう、あるいは、間に合わなかったら国会に座っている議員を献金で集団で人身売買のように買い付けてこよう、こういうことが行われているんです。兜町の取引は一つ一つを丁寧に取引しますけれども、国会の買い付けはブロックで、派閥というブロック単位で買い付ける。こういう拉致か人身売買に似たようなことが白昼堂々と国会の中で行われている。これが今回、献金でもって明らかになった構図ではありませんか。こういう、政策をあるいは議員をお金で買う、これが日本の政治を悪くしている。
 日本の政治を信用する人がどんどん少なくなっている。日本の政治や政治家を信用する人はわずか一五%しかいない。まさに「政は正なり。」総理大臣のおっしゃったとおりです。それが行われていないからこそ元気がなくなる。日本の国が間違った方へ、ゼロ金利政策、サラ金政治、そしてこの献金政治、この三金政治は、私たちの国を救うためには、一日も早くこれを改めなければならないと私は思います。
 まず総理大臣に、このゼロ金利政策についてどういう認識を持っていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。総理に続いて、その後、財務大臣にお伺いします。総理、お願いします。

○小泉内閣総理大臣 物事には、一面でなく両面、多面的に見なければならない問題があると思います。低金利、必ずしも悪いことではありません。インフレになれば高金利になります。高金利のときにいいかといったら、よかった、よかったと言われたことは一言もない。まず物価を下げよと。
 今デフレです。ですから、低金利、ゼロ金利。そういう中で、日本経済は今堅調に回復してきている。私は、こういう状況の中で、もっと金利を高くしろという声がありますけれども、経済全体を考えると、このデフレの状況で果たして金利を上げていいかどうかというのは、これは日銀の判断としてそういうことはしないと思っております。
 また、そういうゼロ金利なのに、なぜよその国に比べて日本国民は預貯金に熱心なのかと。金利だけが国民の預貯金しようという判断ではないという一面を物語っていると思います。
 私は、そういうことから、今言われたお話、非常に興味深く拝聴いたしましたし、独特の哲学を持っておられる岩國議員でありますから、もっとお話を聞きたいなと思ったんですが、聞いていてなかなか参考になります。今後とも、今のような状況から改善すべきことがあるじゃないか、そういう御意見と私は受けとめております。
 今までも悲観的な見方が強調されておりましたけれども、そういう中でも、ゼロ金利の中でも、経済の動きというのは、設備投資にしても消費にしても回復傾向を見せている。一部主要企業の好調が地方に広がっている、中小企業に広がっているという状況も徐々に見えてきておりますので、今の点、よくわきまえながら、より経済を活性化する方向に努力を続けていきたいと思っております。

○谷垣国務大臣 金利、金融政策は日銀の所管でございますからお答えしにくいこともあるんですが、今、総理がおっしゃいましたように、景気は堅調に回復しつつあると思いますけれども、基本にまだデフレ傾向が緩やかながらありますので、これは日銀と一緒になってデフレを克服していく。そういう中で、日銀が量的金融緩和政策、コミットをはっきり出しておられるのは、私どもと基本的な認識は一致していると思っております。今みたいなデフレ傾向のときにちょっとでも金利を上げていくということは、実質金利がさらに上がっていくということであって、景気には悪影響を与えるのではないかというふうに考えております。
 それから、この低金利政策によって、やはり家計や何かに大きなマイナスの影響があるのではないかという御指摘だったと思いますが、確かに、家計部門で預金や債券からの利子所得が減少しているということは、私、事実だと思います。
 他方、デフレ傾向が続いている中で、消費者物価等が引き続きマイナスということもございますので、名目金利が低くても実質的な預金の金利水準というのはおっしゃるほどではないのではないか、一概に不利益をこうむっているとは言えないのではないか。
 それから、マクロ経済全体で見た場合には、やはりこういう金融緩和措置によって企業の業績が、実体経済、下支えしているということがございますので、これが家計部門に与える影響もあるのではないかな、私はそのように考えております。

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