現代美術館の柳宗理展に行ってきました。
以前、鳥取の民芸館でも見たので二度目です。
戦後の工業デザインの佳きスタート地点として、大きな仕事をした人だと思います。
アトリエの風景や、デザインについては、昔AXISの特集で見ていたのである程度は理解していましたが、執拗に一本のラインを生み出すプロセスが非常に興味深いです。
僕たちがシンプルと呼んでいるものの内容の深さや、文化的な厚みを考えさせられましたね。
単に要素を少なくするだけじゃなく、長く飽きられないもの。同時に長くメッセージを発信し続けるもの。
そういうものを目指した姿勢が感じられました。
飽きたら捨てるという悪しき習慣を前提に、今の消費社会は成り立っています。
30年使い込んでもまだ新しい味が出てくるようなものと共に暮らしたいですし、そういう建築を精進して作っていこうとあらためて思いました。
最近の柳ブームが一過性でない事を願っています。
しかしこうして一つに並べて見ると、一人の作家が好きなもの。影響を受けたもの。などが透けてきて面白いですね。
柳宗悦の学習院時代に鈴木大拙に英語を教わったと知ってびっくりしましたが、柳宗悦のお父さんは長崎海軍伝習所第一期生で勝海舟の同級生だったとか。
文化は生活を通して伝わっていくものだと思うので、そういう縁が仕事にも影響してるでしょうね。