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ぷち日々雑記

2000年8月 

RAINBOW LIFE

ある朝。Tに五時半に起こされる。
寝苦しい夜だったからすごく眠いのにまったく、すでにおもちゃで遊び始めた彼を横目に何となく庭に出てみる。朝のにおいがする。さわやかなような濃密なような、酸素が鼻を刺激する。かぼちゃの黄色い花が生き生きと花開いている。暑い日中はしおれたようになっているのに。こんな時間に彼女たちは人生を謳歌していたのか。
空を雲を眺めていると、おやと思う。目の錯覚かなと思う。色が見えるような気がする。おやおや。虹かな。虹だな。ああ虹だ。半円の三分の一くらいが少しずつ見えてくる。Tを呼ぶ。でもまだ危うくてこのまま消えそうな気もする。だんだんはっきりしてくる色を二人で確認する。あたりの空の色が薄ピンク色になって夢のようだ。すこしずつ色の帯はのびていく。橋のように向こう側にむかって。さえずりながら飛ぶ鳥たちを、橋を渡ってるねえとTが羨む。もう少しで向こう側に届く。たぶんこれが山場。届いたとたんに出発点は消えていく。消えていくのは早い。惜しまれて時間は早送りになる。
いいものみたね。よかったねえ。いいことあるかな。いいひとだと虹は見えるよ。とうちゃんはみれなかったねえ。

 

 

 

 


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